心が満たされるひと時を。

夜闇の中、軒先にぶら下がるランプに照らし出された不思議なお店。
まるで魔女が居そうなそのお店は、『まれぼし菓子店』。
導かれるようにして出逢った『わたし』は、そのお店の虜になってしまうのです。

手嶌さんを始めとしたお店の人たちも、それぞれに個性があって、徐々に親しくなっていく楽しみがあります。
一緒に訪れた人の意外な一面を見ることで距離が近付いたり、嫌なことがあってささくれ立った気持ちを静められたりといったストーリーもあり、良いスパイスになっています。
ほっこり幸せな気持ちにさせられますよ。
時折、お店に訪れる不思議なお客を垣間見るのも、このお店ならではですね。

何より、登場する菓子の数々が丁寧に描写されており、目の前に見えるよう!
そのまま食べられないのが残念でなりません。
お菓子は洋ものから和ものまで幅広く、一緒にいただくお茶もそれに合わせたものであるのが嬉しいところ。お店の穏やかな居心地良い雰囲気の中、美味しいお菓子とお茶をいただく時間はまさに至福と言えるでしょう。
『わたし』は本当に美味しそうに食べるので、食べた気分にもなれますよ!

お菓子には素敵な言の葉が付けられており、それが故に『まれぼし菓子店』のお菓子は特別。その魔法はそれぞれのお菓子をキラキラと輝かせてくれます。

一話一話、美味しいお菓子とお茶をゆっくりと味わうように楽しめるお話です。

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