いつ死ぬのか(作者にも)わからない、緊張感溢れるくっ殺コメディ

 まず第一に、これは「作者が各話執筆前に1/100の確率の生死判定を行う」というルールにより、常に不思議な緊張感と不安感に苛まれる物語です。

 勝つか負けるか、生きるか死ぬかの戦いを繰り広げる主人公は数居れど、心の何処かで「でも結局勝つんでしょ……」と思ってしまう。そんな自分に寂しさを感じたことは有りませんか?
 かつてのネット小説には「いい感じに盛り上がってるけど、作者のリアルで嫌なことがあったら突然スプラッタに舵切るんでしょ……」という不安感がありましたが、そういった理不尽な「終わりへの恐怖」ではなく、ルールに基づいた不安感!

 1話で「え、こいつどうやったら死ぬの?」と思わせた上で、2話で確実な死の方法を提示してくる。だからこそ、その後ポンコツゴリラ女騎士がどれだけ騎士団日常コメディを繰り広げようが、「あ、これ下手したら此処で死んでたな……!」と些細な死の気配を感じてしまう。
 新規読者は読み始める前に現在の話数はわかっているし、そこまでは死なない保証がされているのに、いつ下り始めるか判らないジェットコースターに乗っている気分です。
 面白い。