難病治療のために冷凍睡眠されていた主人公は、80年を経て目を覚ます。
両親を始め、知人のほとんどが寿命を迎え、連絡がつく相手もいない中――彼の後見人となったのは「喋るイルカ」だった。
イルカと人類が共に生活する異種共存社会。
自走する水槽をARで上書きする、人間の姿のアバター。
人もイルカも世代を重ね、若者達には異種共存も、そのためのルールも当たり前になった近未来。
遺伝子改造により世界初の知性イルカが生まれて70年、人類とイルカが共に暮らし始めて50年。
時代に取り残されていた主人公は、ある陰謀に巻き込まれたことで、止まった時間を無理やりに動かされてゆく。
一話読むごとに深く噛み締めてしまう、良い物語でした。