盛城東奈、夢の中で蜂子皇子と邂逅
盛城東奈の夢の中
東奈の脳に直接語りかけるように雅な雰囲気をした男の声がする。
「東奈…蝦夷の神子、盛城東奈よ…」
「誰でがんすか…俺さ…はっ!」
東奈の枕元に顕れたのは、全体が黄緑色の
「は…鉢子皇子…いや…殿下…!」
「そのように呼ぶでない。余はもう
「ははーっ!」
「表を上げよ。そなたに渡すものがある」
「は、はい…殿下…いえ、照見大菩薩様!」
東奈は一旦は蜂子皇子に対して平伏するも、照見大菩薩と名乗った蜂子皇子に顔を上げるよう告げられた。
「余は憎しみ合う生き方はもう沢山だ。だが身内の
「なるほど!」
「余は出羽国と陸奥国のその後を全て見てきた。長い、長い間…山を隔てた陸奥国では蝦夷の長、阿弖流為が
「なんだってやぁ!?」
「奥羽は今狙われておる。津軽の地に封印されたハズの上毛野田道が現世に於いて六道輪廻を繰り返す蝦夷の民を鋼の獣に、蝦夷そのものを迷界と化し滅さんと動き出したのだ。それを阻止するために
「その、巫女とはもしかして?」
「巫女と言っても2種類ある。六道の四悪趣に堕ち、鬼と化した蝦夷の民「六道獣」と戦う巫女、その鬼を元の蝦夷の民に戻す浄化の羽黒神子、この2人が連携しなくては迷界獣は人には戻らぬ!
「ひょっとしてこれが… 宇漢迷公宇屈波宇の言っていた“来たるべく更なる災い”の事だか?」
「そうだ。浄化の法に加え、羽黒全ての秘法、そして余からも移動用のエミシノイド一体をお主に授けよう」
「はい?」
蜂子皇子が手を翳すと、光の球が現れ、それはメカ犬鷲に変化した。
「これは…?」
「お主を乗せ、護るエミシノイド「イデハイーグル」だ。明日の朝お主を迎えに来る。その後はお主が使役するがよい!」
「あ…ありがたき幸せにござんす… 照見大菩薩様…!!」
東奈は蜂子皇子に深々と礼をした。
「それから阿弖流為に会ったらこう言伝てはくれまいか?「本来なら
「心得ました!能除仙様!!」
「ではさらばだ!蝦夷の神子よ、己の運命を全うせよ!!」
「照見大菩薩様…蜂子皇子ー!!」
そのように言い残して蜂子皇子は東奈の枕元から消えた。
翌朝、解散式を済ませた神子修行の一行がバスに乗り込もうと列を組む中、神光輝が声をかけてきた。
「あなた、私はこのあと仙台に寄って東京に帰るけどこれからどうするの?」
「仙台さ向かうのすな?
「あら!」
東奈は昨日までの神式の神子装束ではなく、
さらに摺衣の袂から護符を取り出し、天にかざした。
「
妙見菩薩真言と共に現れたのは、昨夜の夢に出てきたメカ犬鷲「イデハイーグル」だった。
「驚いた!蜂子皇子からの神託にロボットを賜るなんて…」
「さぁ乗らい!荷物しっかり持たい!阿弖流為と阿弖流為が選びし蝦夷の巫女の元へ、急行せよ、イデハイーグル!!」
東奈はイデハイーグルに光輝を乗せると、イデハイーグルを起動させた。
-フォオオオン
イデハイーグルは出羽三山神社の峰中堂前から両翼のファンで垂直離陸した。
その様子を他の神子修行参加者はただただ唖然と見守るしか無かった。
「何アレ?」
「修行で身につけちゃったのかな?チート能力ってやつ?」
-バシュン
ある程度の高さまで垂直離陸したイデハイーグルは仙台を目指して飛行開始した。
「後は頼んだぞ阿弖流為…」
羽黒山から蜂子皇子が2人を見送って行った。
奥羽の守護神エミシオン 京城香龍 @nahan7
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