学術に昇華された『聖地巡礼』

まずタイトルに惹かれてクリックしましたが、ファンタジーではなくまさかのエッセイ。
しかしながら読みやすく面白い。

本作は旅行記ではあるものの、アニメ等の所縁のあるロケーション、所謂『聖地巡礼』を主目的とした作品です。
あまり世間においてはポジティブに捉えられていない行為ではありますが、この作者さんの場合、非常に好感が持てる姿勢でそれに臨んでいます。

たとえば、本来観光地ではない地区においては、住民の方々の生活の妨げにならないよう、早朝などに訪れるなど、良識を持っているのもそうなのですが、何よりその知見の深さたるや。

その土地のフォークロア、作中と実際のロケ地との相違点を取り上げ、演出の意図を深く考察する。
それはもはや立派なフィールドワークです。

今はまだ首都圏をメインに取り上げていますが、今から他の場所に行くのが楽しみなところ。

単にキャラクターの絵馬を奉じたりご当地グッズを買ったり、「この場所でこのシーンが〜」とはしゃぐなどという段階に留まるのはもったいない、もう一歩踏み込んだ楽しみ方を教えてくれる良エッセイです。

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