幼女博士ちゃんとロリコン助手くん~混ぜるな危険~

小糸味醂

ロリコン助手くんは今日も人知れず世界を救う

「見たまえ助手くん!これは私が長年かけて開発したどこでもド……」


「それは言わせませんよ!博士!」


 すんでのところで博士の口を押さえ、ついでに博士の香りもスンスンと嗅いでおく。そんなトンデモ発明をされても世界を混乱に巻き込むだけだ。

 輸送業界、自動車業界、船舶、航空業界の衰退を招くばかりでなく、人々は物価の安い地域で買い物をし、物価の高い先進国の内需は激減。世の中の権力者は常に暗殺を恐れ、世界の構造が一変するのが目に見えている。何より藤○プロが怖い。

 そんなカオスな発明をこんなかわいい幼女のいち研究室が開発して良いものではない。

 ほら、こうやって幼女の香りを嗅いでいた方がよっぽど平和だろう?世界平和ってのはこうやって人知れず、小さな世界で守られているんだよな。うん、幼女万歳!


「モゴモゴ……」


 おっと、こんな幼女博士を羽交い締めにしているところを誰かに見られたら俺がロリコンだと誤解を受けそうだ。口惜しいがここはそろそろ解放しておこう。


 博士は天才なのは良いのだけれど、少々モラルに問題を抱えている。まだ5歳なんだし仕方のない部分はあるのだが、ここは常識のある大人の俺がしっかりとブレーキにならなければ!


「ケホッ、ケホッ……」


 おっと、口を強く押さえすぎた影響か?


「博士、どうされましたか?何か飲まれますか?」


「ああ、キミにこの発明の意義を説明する前に落ち着きたいから、お茶か何かを入れてくれないか?」


「申し訳ありません。あいにくお茶を切らしておりまして……。ミルクならいつでも私が濃厚なのを出す事ができるのですが……」


「はっはっはっ。いくら私がまだ5歳だって言っても、男のキミからミルクが出ない事ぐらいは知っているよ!」


「あはははははははは、そうですよねー」


 チッ!


「おや?何だか舌打ちが聞こえたような……」


「ははは、気のせいですよ」


「さて、何だかこの発明品の名前に問題があったみたいなので訂正しよう。この『どこでもゲート(仮)』はだね、ゲートを通る人間を感知して、体組織を分解、そして任意の場所に体組織のデータを飛ばして再構築する機械なんだ。」


「ほほう」


 全く、博士の考える天才的発想には恐れ入る。


「で、この機械による経済的影響への対策はどうするつもりですか?」


 そう、まずはこの問題を解決しなければ運用する事なんてできない。


「それはだね。最初は国に管理をさせる。そして各輸送系業界に取り扱いをさせて、少しずつ浸透させる事で、経済的影響を最小限に抑える。物価の問題に関しては、島国のこの日本ではあまり一般的ではないけど、例えば現在物価の高いシンガポールから陸路でジョホールバルに行って買い物をする人だっているし、スペインからジブラルタル、モナコからフランスなど、大陸では一般的に行われている事だ。大きな影響はないだろう」


 うーん、確かに。博士の言っている事がもっともらしく聞こえてくる。


「では、犯罪に使われる問題はどうします?」


 どこにでも入り放題なんて問題がありすぎだろう。


「それは簡単だ。まず国境を跨ぐ場合は出口にイミグレーションと検疫を設置しておく。あと、出口を設置するのは屋外の決まった位置にしておくと良い。直接ミサイルや弾丸を打ち込めないように、感知できるのは人体のみにしておいた」


 それじゃ『どこでもゲート(仮)』の『どこでも』って前提が崩れるんじゃ……?いや、そこは突っ込まないでおこう。つまり博士は人類初のテレポーターを開発した訳か。


「しかし問題がないわけではない。まだ実際に試した事がないのだ。そこでだ、助手くん!キミにこれを試してもらおうと思ってな」


「え?そんなの嫌ですよ」


 人体を分解したは良いけど、再構成に失敗しましたなんてオチになりそうで、そんなの想像するだけでも恐ろしいじゃないか!

 あれ?博士の様子がおかしいぞ?ちょっ、博士、そんな涙を溜めないで!そんな上目遣いで俺を見ないで!


「ああ、もう、わかりました。やりますから、あとでクンクンさせてくださいよ!」


「?……ああ、わかった。成功したら何でもしてあげようじゃないか!」


 そして俺は機械の前に立つ。

 ああ、緊張するな……。


 そして視界が光に包まれたかと思ったら……出口に移動していた。


「やった!博士!成功ですよ!」


「やったな助手くん!成こ……う……?」


 やったー!!これで博士にクンクンできる!俺は歓びの気持ちを体全体で表現しつつ、博士に駆け寄っていった。


 ん……?体全体……?それにちょっと冷えるし何だか下半身あたりに心地よい開放感を感じる。


「ま、まあ、成功って言えば成功なのかな?しかし人体のみを感知する設定は見直さなければならないか……。助手くん、ありがとう、完成まであと1歩だ。早く服を着たま……え?って、何をするんだ助手くん!わ、私の体を持ち上げて何をするんだ!?え、え、?機械の方に向かっていくんじゃない!私をこの機械に通すんじゃ………!!ギャ──────────!!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幼女博士ちゃんとロリコン助手くん~混ぜるな危険~ 小糸味醂 @koito-mirin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ