ももんがのももちゃん

自分の事は棚の上に置いて♪

「もう、やってられない」

ももんがのももちゃんは、すっごく後悔しました。

そして、すっごく落ち込みました。

なので、今は山小屋の中にある棚の上にいます。

そして、自分の事は棚に上げるのです。

ももんがは、心に重荷があると飛べなくなるのです。

ももちゃんはちょっと前の後悔していた自分を、静かに棚の上に置きました。

「ふぅ」

後悔を棚の上に置いたももちゃんは、軽やかに吐息をすると、棚の上からふぁっと飛び立ちました。飛ぶのはとても気持ちがいいです。

棚の上に置いたちょっと前の自分の残影と後悔の念は、きっと山小屋の守り人が、はたきで綺麗にしてくれるはずです。

そして、ももんがのももちゃんは、今日も軽やかに空を舞うのです♪

ももちゃんの後悔の念は、山小屋の地中にいるモグラの旅路くんの所に落ちてきました。モグラの旅路くんは、ふっと後悔の念に駆られました。

「もう、やってられない」

と呟きはしたものの、モグラの旅路くんは、とても前向きです。

モグラの一族は、ひたすら前を掘り進めるのが生きがいなので、過去など悔いませんし、反省などしません。

ゆえに後悔の念すら前に進む糧となるのです。

「ふう」

ももちゃんの後悔の念のお蔭で、モグラの旅路くんは、いつもより掘り進めることが出来ました。

モグラの旅路くんが、いつもより掘り進めた結果、ゴルフのグリーンに僅かなズレが出来て、ルーキーのゴルファーが優勝を決め、その結果、ルーキーは好きな人に告白を決めました。

そして、多くの出会いがビリヤードの球の様にぶつかり合い、それが幾つも連なった結果、ももんがのももちゃんが住む山小屋の守り人さんは、失恋してしまいました。

ももんがのももちゃんが軽やかに飛ぶその下で、山小屋の守り人さんは、ため息をつきました。

「はぁ」

ももんがのももちゃんが、それが自分の後悔の念が原因なんて事を知る由もありませんでした。

おしまい