第18話

——ピッ。ピッ。ピッ。

うーん。

——ピピッ。ピピッ。ピピッ。

むにゃむ。

——ピピピピピピピピピッ。

起きるってば。

——ヴィーーーーーーーー!ヴィーーーーーーーーー!ヴィーーツ

仕方なく。まことに不本意ながら、僕はベッドから起き上がり勉強机の上に置かれた目覚まし時計を黙らせる。眠い目を擦りながら簡単な身支度だけ済ませてパジャマのまま階下のダイニングキッチンに降りる。僕がのそのそとテーブルにつくと同時に、「ご馳走さまでしたー」と言って姉が席を立った。

 正面に座る父が朝刊を捲る音。

 卵料理を作る母の鼻歌。

 コーヒーメーカーが立てる重低音。

沈黙の中に家族の息遣いを感じる、いつもと変わらない朝食シーンのようだが、よくよく観察すると3分に一回父は欠伸をしている。いつもより少々遅めの朝食を終えて、リビングで充電しておいたスマートフォンを掴むんだその時、折しも鈴木からRAINメッセージを受信した。

@Suzuki-Fast

「放課後、部室に来られたし。」

あいつのRAINは仲良くなる程短文になる。



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怪盗。 半人前のムクドリ定食 @unfledged-starling

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