時間

第1話

　私たちが戦うべきものは嫌いな上司でも、憎たらしい会社でもない。

　ましてや仲が悪い家族でもない。

　時間である。

　時間ほど恐ろしいものはない。

　あなたから大切な人を奪っていく。

　あなたから可能性を奪っていく。

　あなたから若さを奪っていく。

　あなたから熱意を奪っていく。

　代わりに時間は諦めと敗北をくれる。

　そのうち病気と死をプレゼントしてくれる。

　いにしえの時代に神や悪魔を恐れぬ皇帝がいた。

　地上を統（す）べる皇帝でさえ時間だけは恐れた。

　だから勇気ある人はいうのだ。

　浪費する時間と対峙しよう。

　非生産の時間を退治しよう。

　もっとも恐ろしい時間は、もっとも頼もしい味方にもなりうる。

　ある人が私にいった。

　もし君が資格も能力も取り柄もない20歳の青年だったとしよう。

　今すぐ動かないと、時間は君を資格も能力も取り柄もない21歳の青年に変えてしまうよ、と。

　さあ、行動しよう。

　さあ、行動しよう。

　さあ、時間を味方につけよう。