(宣伝企画用)異世界ファンタジー・『勇者になりきれ! Ice age warriors』・190,284 文字(連載中)・コメント4・★20

イーノ@ユッフィー中の人

ゆうなり誕生秘話:全ての理不尽に感謝を

 私の人生が全て、順風満帆だったなら。この小説は生まれなかったと思います。「勇者になりきれ!」は、氷河期世代でADHDで無職なおっさんの、挫折と失敗が重層的に積み重なって化石となった、チバニアンの地層。


 そして、そこからの再起の物語です。起こせ! 日本のポールシフト。


 これまでに何度もタイトルを変更し、主人公まで変わりましたが。最初期の原案「氷都の舞姫」を構想したのは、2014年ですから6年も前。きっかけは、某社のP B Wプレイバイウェブで思うような活躍ができなかったことに端を発します。それで、自分の思い描くストーリーを小説にしました。最初から敗者復活戦です。


 ごく簡単に触れておくと。北海道に本社のある某社のPBWはテーブルトークRPGをネット上でMMORPG風に遊ぼうという、超競争社会な力技の無理ゲーでした。この時点でもう、バブル崩壊後の就職氷河期で過剰な競争にさらされ続けた氷河期世代と重なるものがあります。


 そして、ヒロインのひとりミキはそんな「戦争狂い」たちの出世競争から落ちこぼれた独自の感性を持つ旅芸人。よくある勇者パーティから追放された系の主人公に近い立場です。悪の親玉が倒された後、それが巧妙に仕組まれたフェイクだと分かり。真の黒幕はありとあらゆる異世界に災いの種を拡散させてしまった後で、失意の彼女はひとり故郷の氷都市へ里帰りします。

 他の戦争狂いたちは、新たな戦場を求めて旅立ち。少数の心ある者も良心の呵責から異世界へ渡る中、事態の急変を伝える名目で氷都市にたどり着いたミキは「英雄の帰還」として初めて脚光を浴びます。人間万事塞翁が馬。


 ここまでは、元ネタになったPBWの二次創作に近いものでしたが。「私たちの地球」との接点を設けたことから、どんどんオリジナル化が進みます。

 全部映画版で見たのですが、文豪ディケンズの名作「クリスマス・キャロル」や、異世界召喚ものの元祖と呼べる「ナルニア国物語」、古代ローマと現代日本を行き来する「テルマエ・ロマエ」に着想を得て。地球上の誰もが、異世界の知的種族全てに至るまでが眠っている間、無意識に「精神だけの異世界転移」をしている「夢渡り」現象の存在に気付いた頃には。完全に独自の物語となっていました。


 精神だけの地球人が氷都市で活動するには「アバター」のような魔法人形に宿って仮の肉体を得ます。しかもこれは古き神々の遺産で、様々な異種族の姿や能力を再現できる。なのでミキに代わって主人公になったイーノは、これでPBWのマイキャラに変身してなりきることを思いつきます。

 異世界に行ったら、RPGみたいな世界だったのではなく。困難に直面する氷都市の人々に肩入れしたイーノが、地球人のゲーム仲間に呼びかけて「楽しみながら世界を救う」RPG的な演出・運営を考える趣向の話になりました。ゲーミフィケーションです。

 よくあるテーマでも、調理法次第で別の料理に変わる典型ではないでしょうか。


 本当に大事なものは、世界の裏側に隠れて見えません。多くの人は本当によく、見た目に騙されますが。夢渡りは氷都市では常識ですが、ほとんどの地球人には非常識です。


 異世界ものでありながら、実話をベースにした部分もかなりあります。そうしないとネタが続きませんし、薄っぺらい嘘の作り話になってしまいます。

 ミリタリー・パレード社のビッグ社長や側近の二人にはモデルがいますし。同社のPBW「偽神戦争マキナ」で起きたトラブルも、実話に基づいてます。


 今の日本で「異世界もの」「異世界転生」がもてはやされる理由も、きちんと明確な根拠があるんです。ブームを追って金儲けしか頭に無い連中なんかには見えない、世界の裏側の真実が。


 そして、バブル崩壊以降。日本を数十年にも渡って覆い続ける閉塞感の正体が北欧神話での「フィンブルの冬」にそっくりなことも、重要な気づきとなりました。私も取材のために2020年1月に発足した「就職氷河期世代当事者全国ネットワーク」略して氷河期ネットさんのイベントに足を運び、当事者の声を聞いて。高度成長期の幻想が「光を失った古い太陽」なのだと痛感しました。

 北欧神話では、太陽が光を失う時に大いなる冬フィンブルヴィンテルが訪れます。現代の日本においてはそれがバブル崩壊、就職氷河期、数々の痛ましい事件なのでしょう。


 ならば私が描く物語は、その先の古い世界の終わりと、新たな世界への再生。それは地球史上のポールシフトのように、多大な変化を伴うものになるでしょう。けれど新しい世界は、きっと今より良いものになっているはず。


 何者でもない落ちこぼれのおっさんが、ふとしたきっかけで非日常の世界に足を踏み入れ。そこでの出会いと冒険を通じて成長してゆき、最大の試練を乗り越えた後に日常へ帰還する。そして得た経験を元に、現実を変える。

 ここではそんな「英雄の旅ヒーローズ・ジャーニー」を描いています。


 実際、カクヨムコンに参加してみて感じましたが。狭い日本の中で限られた椅子を奪い合ってる競争社会の縮図が見えました。だから正直、こんな狭い世間で争っててもしょうがないと思います。もっと海外に出よう。

 私は翻訳者になる勉強をして、自分の小説を海外の小説投稿SNSで発表して、日本にいながら海外で作家デビューしようと本気で思ってます。夏への扉は、その先にあるのかも。


 この小説が、誰かの「外国という異文化=異世界」に関心を持つきっかけになったり。現代日本の「フィンブルの冬」を生きる氷河期戦士たちの「ちいさなあかり」となることが、もしあるならば。氷都市の仲間たちも、きっと喜んでくれるでしょう。


 世の中は理不尽に満ちている。それでも世を恨むことなく、明るく前向きに何事にも好奇心を持って、人生を楽しみたいですね。私を強くした、全ての理不尽に感謝。


 Let's play the hero, in your life.

 あなたの人生で、主人公を演じましょう。


 


 

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