デモンストレーション

結城彼方

デモンストレーション

俺は毎朝、出勤時にデモンストレーションをしている。集中力を高め、さも自分がもう1人いるかのようなイメージを想像し、そのイメージを線路に飛び込ませている。俺は飛び散ったイメージの自分を見下ろし、周りが騒がしくなっていくのを想像した。自分の頭が駅のホームに転がり、何か言いたげな目でジッとこちらを見ている。何を言いたかったのか、いつか解る日が来るのだろう。何せこれはデモンストレーション。本番に備えているのだから。そんな事を考えながら、今日も俺は会社に向かう。


ある朝、俺はいつものように駅のホームに来た。だが、今日はいつもと心構えが違う。今日はデモンストレーションではなく本番だからだ。デモンストレーションの通り、電車が来るとフラッと線路に落ち、電車に撥ね飛ばされてバラバラになった。俺の頭は駅のホームに打ち上げられた。


(全てデモンストレーション通りだ。)


そう思っていた自分の目に衝撃が走る。なんと、生きた俺が、ホームに打ち上げられた俺の頭を見下ろしているのだ。意識が遠退いていく中、俺は、生きてる俺に目で訴えた。









(デモンストレーションは終わらない。)








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デモンストレーション 結城彼方 @yukikanata001

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