第4話 ショートホラー「余命診断」…らせん


東れいの失踪は、マスコミを騒がせた。

突然、連絡がつかなかったことで、急遽の代役が立てられた。


「夫人たちの夏」


代役は、琴平かずみという同期の女優だった。


琴平さーん、と呼ばれて、琴平は、使っていた携帯スマホのスイッチを切った。


仕事の内容を、マネージャーから説明されて、

琴平は、驚いた。


今度の仕事は、夫を亡くした未亡人の役です。


結婚もしていないのに、未亡人なんて…。


琴平は、一人の恋人のことを思った。

安西和十(あんざいかずと)。建築家の彼は、設計事務所の中堅として働いていた。


徐々に、有名なビルに関われるようになった安西は、自信に充ち溢れていた。


メール来てないかな?


メールボックスを覗くと、「余命診断」というメールが目に入った。


縁起でもないわ。


琴平は、メールを削除した。

削除すると同時に、電話が掛かってきた。


安西和十の電話だった。


今日、会おうよ。


二人は、スカイレストランで会う約束をした。


安西和十は、そののち、建築現場から落ちて来た建築資材で、全身を強打され、運ばれた病院で死亡が確認された。


「まだかなあ。」


琴平かずみは、スカイレストランで、一人、安西和十を待っていた。




「余命診断」…。



―完―

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ショートホラー「余命診断」 棗りかこ @natumerikako

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