第3話 ショートホラー「余命診断」…迂回


作家の川上景子は、東京湾の埠頭で、待っていた。

だが、恋人の忍塚は、現われなかった。


「何なのよ。」

川上景子は、忍塚のアドレスを「死ね」と突いた。


川上は、家に帰って、また、恋愛小説を書き始めた。


あやかは、はるとの胸に飛び込んだ…。


あーつまんない。

自分の恋がうまくいかないのに、他人はハッピーエンドか。

川上景子は、

息抜きに、コーヒーを飲もうと、席を立った。


「何か連絡入ってないかな?」

忍塚からプレゼントされた携帯スマホを手にとると、メールチェックを始めた。


「何か言ってよ。」

景子は、忍塚を、思いながら、メールをチェックした。


「あれ?」

景子の目に、「余命診断」というメールが目に入った。


こんなもの、いらないわ。

景子は、それどころじゃないのよ、と、メールを削除した。


「さあ、今日は、寝る寝る。」


景子が、目覚めると、数日が経過していた。


今日、前衛作曲家の忍塚圭斗さんの絞殺死体が、自宅で発見されました…。


景子は、びっくりして、持っていたスプーンを取り落してしまった。


さらに、数日後、景子の事故死が、マスコミで報じられた。

「それどころじゃないのよ。」


ニュースを報じていたテレビを、乳幼児の世話をしていた若い母親が、切った。



「余命診断」…。



―完―

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