第2話 ショートホラー「余命診断」…伝染


忍塚圭斗は、東れいと、作家の川上景子と、二股をかけていた。

「つながらないなあ…。」

忍塚は、東れいとの進展しない恋に、多少いらだちを憶えていた。

「じゃあ、川上さん。」

忍塚は、川上に、ラインを送った。


「今日、ディナーしない?」


返事は、すぐ返ってきた。


東京湾岸クルーズをしながらのディナーということに、話は落ち着いた。


そして、メールチェックをしていた忍塚は、

「余命診断」という、メールに気付いた。


「へえ。」

診断とか、占いとか、そういうものには、すぐに飛びつく忍塚だった。


「どれどれ?」

名前と、年齢か…。


忍塚は、自分の名前と、年齢を、入力した。


えええええ?


余命10年?


忍塚は、もう一度、入力した。エンターキーを押すと、今度は、余命30年と出た。

なあんだ。こりゃ、アテにならないなあ。


忍塚は、ディナーに出かける準備をはじめた。

何故か、十年前に買ったマフラーが目に入った。


「あ、なつかしいなあ。」


忍塚は、マフラーを自分の首に掛けた。

「似合う似合う。」


そのまま。忍塚は、ぐらりと崩れ落ちた。


数日後、忍塚圭斗の死亡が、報じられた。


忍塚圭斗さん、三十歳。自宅で、首を絞められた絞殺死体で、発見されました。


お茶の間のファンは、その報道に、驚いて、

ラインでしばらくその話題を論じ合った。

「誰だろ、犯人?」




「余命診断」…。



―完―

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