ショートホラー「余命診断」
棗りかこ
第1話 ショートホラー「余命診断」…序幕
東れいは、有名な女優だった。
忍塚圭斗(おしづかけいと)という恋人を持ち、仕事は順調にいっているかに、見えた。
「これ、プレゼント。」
忍塚は、れいに、携帯スマホをプレゼントした。
「いつでも、連絡して。」
れいは、恋人との語らいに、大きな希望を持った。
れいは、そのスマホで忍塚と会話することに、熱中した。
朝も、モーニングコールして、昼も、コール。夜も寝る前のコール。
れいの、毎日は楽しそうに見えた。
忍塚は、音楽家だった。
電子機器を使った音楽は、前衛的と評され、マスコミで時折、とりあげられるほどだった。
「あら?」
れいが、ある日、メールボックスを見ると、「余命診断」と書かれたメールが入っていた。
メールのバナーをクリックすると、
あなたの余命を診断します…。
名前と、年齢を入力してください。
れいは、自分の名前と、年齢をサバよんで、入力した。
いつも、れいは、自分の年齢を5歳サバ読むようにしていた。
恋人にも、5歳若く自分の年齢を言っていた。
診断結果は、余命5年、だった。
なんなの?
このままで、終れないと、れいは、何度も、「余命診断」をした。
その度に、延びていく、余命。
余命50年。
とうとう、れいは、満足した。このくらいなら…。
満足してサイトを去ったれいだったが、
ふとみた鏡の自分は…。
白髪の、しわだらけの、老婆になっていた…。
翌日、一人の老婆の自殺が、ニュースで取り沙汰された。
れいの、マンションの屋上からの、飛び降りだった。
「余命診断」…。
―完―
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます