最終戦 漆黒の幻影騎士、クロムス

 お姉ちゃんは去り際に、私に一言言葉を残していった。


「あの子が待っている……あの子を倒すことはできるかしら」


 あの子のことは、私は知っている。使う魔法についても調査済みだ。心配はない。

 ただ心配があるとするなら、あの子は怒りっぽいから気をつけたいということ。


「フフフ、待っていたぞ! 魔法少女よ!」


 気がつくと、地面に闇が現れてその中から黒い格好の騎士が現れた。


「……それ私に言うのヤメテ、カズくん」


「……姉さんも、僕の本名の方言わないで。プレイヤー名の方を言ってよ」


 二人は、会って早々に変な汗をかいた。


「わかった。お姉ちゃんのプレイヤー名は、別に言わなくていいからね?」


「……わかったよ」


 二人は、仕切り直す。


「やっと、会えたな! 我が姉よ! 待っていたぞ!」


「えっと……漆黒の幻惑騎士、クロムス! あと、あなたをここで倒せば私が優勝よ!」


「そんなに、上手くいくと思うか?」


「いかせてみせる!! マジってマジマジ!」


「ははっ、笑わせる! ……マジってマジマジ」


 クロムスは、キャラに会わないセリフを言うときだけ、顔を赤らめた。


 説明は不要だと思うが、一様説明しておく。クロムスは、私の歳の離れた弟だ。歳は、18歳。ちなみに、受験生である。

 なぜこの大会に参加しているのかは……聞いていない。私たち姉も言っていないからだ。

 なのに、姉弟全員がこのゲームにはまってしまったのは、何か運命を感じる。


「魔眼魔法、発動!!」


 だからといって、私が弟に手を抜くようなことはしない。弟も、それをわかっている。


「フフフ……甘いよ」


 クロムスは、自分の影へと消えていった。よって、私の魔眼魔法は発動しない。私の見える範囲に、プレイヤーがいないからだ。

 そこをクロムスには、逆手に取られた。


「我が姉よ。我がその魔法に、対策をしていないと思ったか?」


 クロムスが消えていった影から声がする。漆黒の幻惑騎士、クロムスは影と闇の魔法を使ってくるプレイヤーだ。


「シャドウチェーン!!」


 影から無数の黒い鎖が、私に飛んできた。


「ウィンドアロー!!」


 私も風系統の魔法で、対応する。しかし、数も多い上に、鎖の一つ一つの威力が高いため私の魔法の方が多少打ち負けてしまう。


「くっ……」


 私は、ライフにダメージを受ける。


「フフフ、どうした? 手も足もでないだろう?」


 クロムスの言うとおりだ。現状、この状況のままではクロムスに一撃も与えることはできないだろう……だが。


「私も、半年前とは違う!」


 私は、とっておきの魔法を発動する。魔眼魔法は、半年前には持っていたが負けてしまった。ので、新しい魔法を半年かけて、私は手に入れてきた。


「この魔力……まさか!?」


「クロムス! そのまさかだよっ!!」


「バカな! それは最上級魔法のエフェクト……属性魔法の上位、精霊魔法! それを何故、我が姉は持っている!?」


「頑張ったからだよ」


 クロムスは、私がそう言っても納得していない様子だ。それもそのはず、この魔法を習得するためには大変苦労する。理由は単純。


「同じ系統の魔法で……同じ魔法を100時間使い続けなきゃ習得できないはずだ! それを何故、我が姉が!?」


 そんなこと、わかりきっている。


「……勝つためだよ! クロムス!」


 この魔法は、発動まで動いてはならないのがネックだが、発動させればこちらの勝ちだ。


「こいつ……マジか!?」


 思わず、クロムスの素が出てしまったようだ。


「当然! 私は、マジの魔法使いよ! ……風の精霊魔法! シルフゲーム!」


 この魔法は、発動時点で風魔法以外の魔法をすべて破壊して、魔法を使用していた魔法使いに大ダメージを与える。


「くそっ!」


 クロムスは打つ手がない。先に、クロムスが私の魔法発動を阻止していたら勝っていただろう。でも、私はクロムスのプレイスタイルを知っていた。


「先発タイプではなく、闇や影に隠れて少しずつダメージを与えていくプレイヤー……のんびりし過ぎたね! クロムス!!」


 私はクロムスに、精霊魔法を与えて勝利した。次の大会では、こう上手くはもういかない。






 私の地区大会は、今終わった!

 次の大会は、"県大会"だ! 


 まだまだ、私のマジックジェネレーションは始まったばかり……!!






 *愛読、ありがとうございました。作者の次回作に、ご期待ください。

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マジックジェネレーション、略して、マジ!? 猫のまんま @kuroinoraneko

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