第18話(最終話α) 三月の君と僕の終わり。
君との出会いから約二年。
あれから、色々あった。
三年生になってからは、それまでよりも勉強付けで、忙しかったっけ。
だから、やはり、一番の思い出は二年の時の文化祭だろう。
僕らは、文化委員として、生徒会役員として、忙しく動き回り、最高の思い出を作ることができたように思う。
それに、生徒会企画のクイズ大会も成功だった。
あの企画の立ち上げ前くらいに、君に好きな人がいることを知ったんだっけ。
僕は君とは違う人、具体的には佐野友華と付き合っているが、君ともずっと友達でいたいと思っている。
そういえば、僕が彼女と付き合い始めた辺りから、例の、「好きな人」の話を聞かなくなったけれども、どうしたのだろうか。
上手くいっているだろうか。
まあ、すでに僕としては君への恋心はほぼ無いに等しいくらいまで薄れてしまっているが。
友達の恋路は、気になる。
卒業式も終わったある日。
僕は彼女に気になっていたことを聞いた。
すると、
「……、ん~」
「どうしたの?もしかして実は上手くいってなかったとか、他の人と付き合ってしまったとか?」
「うん。そんな感じ。具体的には後者かな」
「あ~、そっかぁ。残念だったね。ってか、ごめんね、こんな話題ふって」
「ううん。いい。いつかは話しておかなくちゃならないことだったし」
「え、ああ、まあ……」
僕は言っていることがよくわからず、適当に相づちを打った。
「ううん。たぶん、私のいってること、よくわかってないでしょ」
「うん。ごめん」
「謝んなくていいよ。言わなきゃわかんないことだし」
なんの話なのだろう。
言いにくいことなのだろう。
なかなか彼女は言い出さない。
「実は、あの好きな人っていうの、君のことだったんだ」
「……」
「急に言われてもって感じだよね。ああ、気にしないで。これは私の一方的な気持ちだから」
そういいながら、彼女の目は少し潤んでいるように見える。
「ぜんぜん、気にしないでね、それじゃ」
僕には、引き留めることなんてできなかった。
後悔と、色々な気持ちが混ざった、複雑な感情が僕の胸にたまっていく。
ああ、やっぱり、僕は君が好きだったんだ。
そう気づいてももう遅い。
過去は変えられない。
全ては後の祭りだ。
それ以来、僕らが出会うことはなかった。
四月の君と、僕の嘘。 悠々自適 / 文月 幽 @my-pace
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