ぜひ最後まで読んでいただきたい作品です。おそらく、もう一度読み返したくなると思います。少なくとも、自分は自然と読み返していました。小説ならではの表現と演出、非常に読み応えがありました。
非常に美しく、胸を衝く短篇です。強烈に引き込む力のある冒頭から格調高さと重厚な味わいを纏わせてくれる音楽の表現をあしらう中盤への繋ぎが素晴らしい。なによりラストのSFらしい解明と少年の決意が、青空のような爽やかさのある納得感と満足感をもって物語を〆てくれます。描かれた少年と少女の暖かくも清澄な機微とその先の物語にわくわくせざるを得ません。これは『男の子な』お話だなぁ……綺麗な、物語です。ぜひご賞味あれ。