第4話 Trust

俺は大橋大河。少しヘマをやらかして金に困っていた。そんな中なけなしの金で銃を手に入れたから、金のために銀行を襲った。まあ、銃もあるし人質もゲットできたし、いけるだろ?


そうおもっていた...


天井のガラスが割れたと思ったら白髪の女、いやドールが降ってきやがった...!

ドールは主に人間をサポートするためにつくられたものだ!そんなドールが....!


「銃弾避けるとかありかよー!!?」



「すごい...」


僕は呆気にとられていた。昨日の襲撃である程度テレシアが強いことはわかっていたが、まさか銃弾を避けるなんて...


「くそっくそっくそっ!!なんであたらねぇんだ...!」


するととうとう大橋の銃の弾が切れた。


「くそ...」


大橋は膝から崩れ落ちた。

テレシアは彼の目の前へ移動した。


「私は、あなたが発泡する瞬間の目の動き、銃の角度、ブレから大体の弾道の予測ができます。なので私に銃は無意味です。」


そう彼に伝えるとテレシアはすぐそばで呆気にとられていたアカリに手を差し伸べた。


「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」


アカリは涙をぬぐい、手を握った。


「あ..ありがとう...」

「いえ、私はアカリ様を助けるようにと命じられましたので。」


そう言うとテレシアはニコッと笑った。


すると身を隠していたカイトが僕らのもとへやってきた。


「カイト!大丈夫だった?」

「ああ、俺はアカリをどうにかして助けようと策を練ってたからな...」


カイトはテレシアを一度見てから言った。


「早く移動しよう。警察がくると厄介だ..」


カイトは頭の回転が早いから、状況を理解するのも早い。


「そうだね。とりあえず僕の家へ行こう。」


僕の家が一番ここから近いし安全だ。

みんなうなづき、僕らはその場を後にした。


しばらくして僕らは家に着いた。

移動の間沈黙が続いたが、カイトは家に着くとその沈黙を破った。


「ユウト...。説明してくれ。」


カイトのこんな真剣な顔はじめて見た...。いや前にも確か...。


「わかった...」


僕はアカリとカイトに昨日あったこと、α-0001、テレシアについて全て話した。


「黙っててごめん...。でも2人には迷惑をかけたくなくて...」


僕は2人に謝った。少し沈黙が続いた。


「はあ、バカユウト。友達ってのは相談にのるもんなんだ。ましてや俺らは親友だろ?」


とチョップをされながら言われた。


「そうだよ!親友なんだからなんでも話してよ。」


アカリもカイトも本当に僕の親友でよかった...。


「ありがとう」


僕は感動して泣きそうになった。


「それで...テレシアちゃんはどうするの?これから」

「はい、私はマスターのお側に置かせていただくつもりです。」


するとアカリの様子がおかしくなった...。


「それって...つまり...同居...?」

「はい。」


アカリは急に飛び上がってテレシアに突っ掛かった。


「ダメ!ダメったらダメ!!ユウトと同居なんて...」


こんなに取り乱すなんてどうしたんだアカリ...?


「落ち着いてよ、アカリ!僕は大丈夫だかー」

「は!?こんな可愛い女の子と同居とか...ダメ!!」


そんな無茶苦茶な...

すると今度はテレシアが口を開く。


「私は、ドールです。マスターに危害を加えるようなことはありません。」


するとアカリは急に大人しくなった。


「そういう...意味じゃ...ないもん...」


アカリは俯いたまましゃべらなくなった。

困った僕はカイトを見る。カイトは「えぇ...」という顔をしたが、仕方ないと肩をすくめた。


「ほら、帰るぞアカリ。状況は理解したからな。」


とアカリの襟をつかみ引っ張っていく。嫌がるかと思ったが案外あっさり引っ張られていく。


カイトは玄関までアカリを引っ張って移動すると最後に言った。


「今度はなんかあったら言えよ?」

「うん、次はすぐに相談するよ。」

「約束だぞ?」

「うん。」


するとカイトは安心した顔をする。


「じゃな。また学校で。」

「うん、また。アカリも...またね。」

「...」


アカリは何も返してくれなかったが、隣にいるテレシアを見た。


「ユウト...よろしくね...」


え、今なんて...?小さすぎて聞き取れなかった...。


「はい、お任せください。」


どうやらテレシアには伝わったようだ。


そして2人は扉を開け帰っていった。


           *


「アカリよかったのか?」

「別に...」


アカリはふてくされた顔をしている。


「全くあまりユウトを困らせんなよな?」

「分かってるよ....。分かってる...。」


アカリは立ち止まった。


「でも...好き...なんだもん...。」


アカリはふてくされながらも照れながら言った。


全く自分に素直なくせにユウトには素直じゃない。


「いつか伝えろよ?」

「うるさい!バカカイトのくせに...」

「いてっ!」


そう言うとカイトの足を蹴った。


まあこんな天真爛漫な女の子でも恋はするらしい。








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Dolls Heart 白木優 @amachan52

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