BlackCard
影神
不思議な郵便
ある日俺が仕事から帰ると玄関ポストに
不思議な郵便が届いていた。
だが、そんなのは日常茶飯事で別に気にとめることもなかった。
高校を卒業してからとゆうもの仕事につくも、
長続きせず、フリーターで生計をたてている。
生計と言っても今のとこももう、やめようか考えているとこだ。
その日暮らしと言った方が近いのかもしれない。
そんなもんだからポストには催促の支払い通知が山ほどある。
宗教の勧誘、スーパーのチラシ、その他もろもろ
俺からしたらなんの関係もない不思議な郵便だ。
それらを日課のように中身を確認し、捨てる。
都会に憧れて、出てきたのはいいものの特にやりたいこともなく
そのままだらだらして今に至る。
最初は危機感すら覚えた。地元の奴等は結婚だの言ってるが
俺は貯金もないただのフリーターだ。
とりあえず生きるためには金がいる。働いていればいつか
自分のやりたいことが見つかるだろうと。
そんなんで今の今までやりたいことが見つからず、
だらだらと生活続けているのが現状だ。
面倒で、働かない日もあるから、収入がないときもある。
だから借金まみれだ。電気ガス水道なんか勿論止まってる。
家賃と飯でほぼ消える。家賃も滞納があり大家さんに
催促されながらも騙し騙し払ってなんとかやってる。
まあ、俗に言う屑とでも言うのか。
いつものように携帯で求人を探す。
携帯は親名義で、支払いはしなくて済む。
何回か連絡があるが、出ない。
正直、自分でも自分がどうしようもないと思う。
でもその状況を変えようとはできない。
わざとやっている訳ではない。変えられないのだ。
無料のセミナーなどに参加したこともあるが、
大して変わらなかった。
数時間自分の意志が少し堅くなるだけで、
次の日には仕事をサボった。
毎日自分を問、追い詰め、頭が痛くなる。
正直、生きている意味がわからない時がある。
ニュースで殺された人を知ると、心底羨ましくも思う。
そう、考える程自分がズレていることに気付く。
疲れと、自分を追い詰め、求人で頭が酔った頃に
ポストに入っていた郵便をふと、思い出す。
俺は束になった郵便物を手にとり、日課を始める。
手慣れた作業をしていると、ひとつの郵便が目に留まる。
送り出し人の名前は書いてない。高級そうな封筒だ。
最初は間違えかと思ったが、確かに俺の名前と
住所まできちんと書いてある。間違いではない。
封筒を開けると、なかには一枚の手紙と、Cardが入っていた。
なんだこれ。俺はそれらを取り出す。
Cardは黒く、キャッシュカードのように見える。
こんなんどっかで、契約したっけなあ?
手紙を開き、目を通す。
『ごきげんよう。いかがお過ごしでしょうか?
突然ですが、あなた様は見事当選いたしました。
同封されているCardは上限なしの
キャッシュカードでございます。
いくら使っても、どのように使っても構いません。
支払いは全て私がお支払い致します。
後で、返金等は御求め致しませんので、
どうぞ気がれなく御使いくださいませ。
但し、一つだけ条件があります。
それは、大金と引き換えにあなた様の時間を
頂きたく申し上げます。
時間と言ってもどこかへ拘束したりする
訳ではありません。
あなた様の時間ただそれだけでございます。
御理解頂けましたら、Cardの裏に御自身の
名前を記入して下さいませ。
Cardの記入が終わり次第、
契約の成立となりますゆえ、御理解下さい。
契約後は時間の返却、契約の破棄は出来ませんので、
よく考えてからでも構いません。
但し、この封筒を開封し、6時間以内に記入されない場合は
契約できかねますので、御協力お願い致します。
では、思うがままに儚い、夢物語をどうぞ堪能し下さい。』
なんだこれ。
普通なら気持ち悪がるだろうが、何故か気持ちが高揚した。
金、金が使える。
俺はペンを取り、Cardに記入する。よしっ、
するとテーブルの上に置いた紙が緑色の炎を放ち燃える。
慌て、手で消そうとするも、熱くない。
瞬く間に、紙は燃えてしまった。すると、何処からともなく
「契約誠にありがとうございました。」と声が聞こえた。
俺は少し驚いたが、目の前の金に目が行き、
すぐさま家を飛び出した。
空腹だった俺は、直ぐ様飲食店へと駆け出す。
うめえ、うめえ、何に使うかな、何に遣おう、、
「昨日、○○県△△市のアパートで36歳の男性が倒れているのを管理者人が見付けました。管理人が今月分の集金へと向かうと、玄関が空いており、気になった管理人が部屋に入ると横たわっている男性を見つけたと警察に通報がありました。死因は老衰死だそうです。昨年度に続き、変死は今回で5件目です。警察は連続変死事件として操作を続けていますが、今だ有力な情報は掴めていないとのことです。」
『ご利用ありがとうございました。』
BlackCard 影神 @kagegami
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