夜の邂逅
話し終えた頃には息子はとっくに寝息を立てていた。
私はため息をついた。
「お話はもう終わり?」
妻の声が聞こえた。
「なんだ聞いてたのか」
「だってあなた、そんな話してくれたことないじゃない」
「……まぁ、今作った話だからな」
そう言うと妻は呆れた声で「あなた、小説家にでもなれるんじゃない」と嫌味を言った。
私は「そんな才能ないよ」と言った。
2人が寝静まったころ、私はこっそりとベッドを抜け出した。
コートを着て靴を履き、静かに家を出た。さっきの話をしていて、急にコンビニに行きたくなったのだ。
深夜の空気を吸って、私は夜の住宅街を歩き出す。
小倉はあの後すぐに引っ越しをして俺の前からいなくなってしまった。
空に広がる宇宙を見上げると、あいつは今ごろ何をしているのだろうかと思う。
コンビニに着いた私は、何気なく男性向けの雑誌を手に取った。
ぺらぺらとページをめくっていると、俺は思いもよらない写真につい笑ってしまった。
スポーツカーの隣に立つ人物に見覚えがあったからだ。
私はその雑誌と棒付きアイスを買って、家に帰った。
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