児童文学のような少年の語りで始まる本作。児童文学賞に出したら受賞するのではと思いました。内容は大人にも響く、郷愁と切なさと、それでいて優しくて温かいものが混ざったお話。すぐに読めます。この短さでこの内容。お勧めです。
祖父の代から続く映画館。少年の父が上映している映画を主人公の少年も見ていました。彼が一番好きな映画は……。お母さんに戻ってきて欲しいために幸せの黄色いハンカチを買うために努力する主人公がいじらしいです。時は移り変わり、少年は大人へと成長しました。黄色いハンカチは手に入りませんでしたが、主人公はちゃんと手に入れたものがあります。ラスト、読者の心の中に広がるのは、きっと同じ光景でしょう。心温まるお話です。