第8話 ララの修行の成果は

季節は既に春真っ盛りとなりました。


修道院の庭の草木も花が咲き乱れています。


ここに来て、ララの聖魔法の治療にも成果が現れ始めました。


治療を続けて来たことで、魔力の総量が引き上げられたようなのです。


そして初歩的な、軽微な切り傷や食あたりに対する治療ならば、少ない魔力で済むようになったのです。


ですから、一日当たりの治療数は最初の頃の10人程度から30人にまで増やすことが出来ました。


もう万々歳です!


解呪の方は元々効果が高かったのですが、こちらもつられて効果が更に高くなっていました。


但し、こちらはひと月に一人いれば良い方なので使う機会は殆ど有りません。

逆に、毎日一人づつ来られてしまったら、この世界はどうなっているのかと心配になってしまいます。

ですから、一人も来ない方が良いのですが。

まぁでも、迷宮を探索している冒険者の方々は別にしてです。



さて、明日からは王都を出て近隣の小さな町や村を巡回して治療を行う、巡回訪問が始まります。


これまでは、巡回訪問に参加することが叶わなかったのですが、ララの治療技術が向上したので初めて参加が決まりました。


素直に嬉しいです!



翌日......。

巡回訪問に抜擢された私たち修道女6人は王国騎士団の女性騎士4人に帯同して貰い王都を出立しました。


私たち修道女6人の乗る馬車が2台(内一台は旅の食料と生活用品)と、馬に乗って帯同する女性騎士の4名で南門を出ると先ずは街道を、二日ほどの距離にある街まで南下して行きます。


そして、そこに至るまでの小さな町や村でも怪我人や病人の方が居れば治療を施します。


王都近郊では治療を受けるような状態の方は少なく、旅は順調に進んでいきました。



王都を出て二日目、当初の予定通り大きな教会のある街へと到着しました。


直ぐに、教会に向かいます。


司祭様への挨拶と、宿泊させて貰う部屋を確認する為です。


街の入口の門の所から10分程の距離に教会はあるようです。


私は、初めての事なので、素直に先輩の後に着いて行きます。


「さぁ、着きましたよ。皆さん並んで下さい」


私たち後輩は先輩の指示に従って横一列に並びます。

そして、女性騎士の方達は、私たちの後ろに整列して立たれました。


すると、礼拝堂の扉を開けて、この教会の司祭様が表に出てこられました。


「皆さん遠い所をいらして疲れた事でしょう。どうぞ礼拝堂の中へお入りください」


司祭様自ら案内して下さり、私たちは礼拝堂の中へと進みました。

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公爵令嬢から婚約破棄された俺は、自由気ままな旅に出る Ⅱ あんドーナツ @ando_natu

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