「人でなし」が人間になる物語

うにゅほとの生活でおなじみ、八白さんの書いた傑作。

「原則と制約」という不可解な文言で始まり、終わる、本作品。
もし先に最後の「原則と制約」を読んでも、読者は何も思わないだろう。
だが、すべてを読み切って辿り着けば、意味がわかれば、胸がいっぱいになるはずだ。
「嗚呼、人でなしは人間になれたのだ」と。

既に他の方々がレビューしている通り、本作品の最も印象的な点は、ラスト三分の一のジェットコースターの如き怒涛の展開だ。
すべての謎が解き明かされ、しかしそれだけに留まらず、予測不可能の衝撃的な事実が次々と突き付けられる。
それは、決して、読者を置いてけぼりにするという意味ではない。
そこまで辿り着くことができれば、時を忘れて一気に読み終えてしまうことを保証する。

強いて欠点を挙げるとすれば、あの六人(七人)の日常を、もっと長く楽しみたかったというとろこである。
だが、登場人物たちに愛着が湧くのは読了後であるため、短くまとめた八白さんの判断は賢明だったかもしれない。
もし可能なら、事件など何も起こらなくていいから、エンディング後のわいわいした日常を読んでみたい。
そう思えるだけの物語、そう思えるだけのキャラクターたちだった。
お嬢かわいいです。

このレビューが、他の読者の呼び水になれば幸いである。

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