すごいきずぐすり

文屋旅人

すごいきずぐすり

 日本の製薬会社が傷薬を開発した。

 その傷薬は細胞の増殖を促し瞬く間に傷を治すというものだ。

 この傷薬、何ともすさまじいことに爆弾テロにあって半死半生の状態になった日本国首相の命すら救った。肉体が半分吹っ飛んだ首相の肉体すら再生したのだ。

 この傷薬は生産量が少なく、製薬会社は今後20年は日本国内でしか生産しないと発表した。20年たてば他国にも販売できるとその製薬会社は踏んだのだ。

 他の国々も、あれだけの再生力があるのだからきっと人体に深刻な悪影響が長期的には出るに違いないと踏んで、日本の様子を見ることにした。

 この傷薬は非常に高価であったが大抵の外傷を治すことができた。

 手術に使用してもよし、お金持ちなどは子供のためにこの薬を買いあさった。

 この薬は、夢の傷薬といわれるようになって大いに日本人の命を救った。諸外国も、そんな様子を見て解禁されたら買おうと思った。

 しかし、結局二十年の立たずこの傷薬は売られることはなくなった。

 否、もっと言うならこの傷薬が人類を滅ぼしてしまうのである。























 傷薬が付いた肉片からも人間が再生され日本人が100億人まで増えてしまい、食糧不足から核戦争が起きて、人類は滅亡したのである。



          了

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