ひとりでに動くドア

千木束 文万

ひとりでに動くドア

ぐわん、ばたん。


隣のトイレのドアが、


音をたてて開閉している。


他に人がいる気配はないのに、


ぐわーん、バタン。


試しにそのドアの前に立ってみても、


止まる気配はない。


そこで外に出てみると、


おや、波が少し荒れているな。



―――解説―――

 要は、ただ船が揺れてただけってことです。語り手は船内トイレに入っていて、開いていた隣のドアが、船の揺れでバタンバタンと開閉していたと。それだけです。

「ぐわん」は、ドアの音ではなく、船の揺れを表しています。文体は「ほぼ百文字小説」に寄せてみました。

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ひとりでに動くドア 千木束 文万 @amaju

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