第15話 歓迎会

その後もお店探しをしたけれど、空いているお店がなく。


でもまだ帰りたくない。




別れを惜しみながら、駅の改札へと向かった。


一樹と絢は、お互いの異なるプラットホームを恨むかのように、熱いハグを交わしてそれぞれの階段を登った。







…。


あれから数週間が経った。


この日もお互い、黙々と働いていた。

今夜は、新入社員の歓迎会だ。


絢は幹事。

お店選びは、一樹にも手伝ってもらった。





歓迎会は、何事もなく平凡に終わった。



お疲れ様でした〜

と、駅付近で皆と挨拶をしてると、

絢のスマホが鳴った。



一樹からメールだ。



「いまから2人で二次会やらないか?」

「ただし、他の人にはバレないように。」



たった2行だけの文章に、絢は心の底から何かが込み上げてくるような気持ちと急激な高揚感を覚えた。


絢はつかさず、

「やったー。ありがとうございます」

「もちろんです」


とだけ返事をした。


私たちは集合場所は記載がなくても大丈夫。


そう。いつもの行きつけの場所があるから。いつも一樹さんと会える場所があるから…。



わくわくした気持ちのまま、

「私、ちょっと24時間スーパーで買い物してから帰るのでここで。」

「お疲れ様でした」



手短に告げ、絢はこの集団を抜け出し、

足早に一樹の元へと向かった。


1秒でも早く会いたくて。

1秒でも長く側にいたくて。

絢は夜の街に向かって駆け出した。

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ラストノート 綾鷹 @ayataka_37

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