第14話 路地裏

絢は、一樹と肩を並べて、

駅前の大通りを歩いている。



時刻は、

まもなく22時を回るところだ。




絢は、一樹の手をギュッと握っている。


一樹は、絢が握った手を

握り返してくれる。



言葉の表現のしようのないくらい、

たまらなく幸せな気持ちだ。



もっと、もっと強くにぎってほしくて、

絢の反対側の手を、一樹の手に添え、ギュッとする。


もっと、もっと一樹を近くで感じたい。

一樹の熱をもっと肌で感じたい…




大通りを歩く人の数は、それほど多くない。


すれ違うのは、カップルや、仕事帰りのサラリーマン。




すれ違うカップルの女の人とたまに目があうが、

私たちを見て、何を思ったのか。

そんなことは知らないし興味ない。


私たちは私たちなので、

人からなんとみられてようと関係ない。


大通りの信号を渡り、今宵の二件目となるお店を探しながら、

一樹と歩く。




んー、全然お店空いていないね。






そうですね…




絢は、とても寂しそうな返事を返す。




もしかしたら。

また裏通りに行ったら、お店あるかもね。







一樹は、そう言葉を言い、絢を連れて、

薄暗い路地はといざなう。





一本路地に入ると、そこは薄暗く、大通りの賑わいや外灯の明るさとは全く異なる顔を見せている。


まさに、地元の人が使うような道。






薄暗い路地を一樹とゆっくりと歩く。



こっちにはお店ないかあー。




一樹がそう言葉を放ち、



たばこ一本吸うわ。



と言い、立ち止まる。




絢は、一樹のたばこの煙が来ない方に立ちたかったので、



一樹がたばこに火をつけ、煙の流れる方向を確認して、

一樹の右側にずれた。





たばこを吸いながらも一樹は、手を繋いでくれている。





…。



絢、こっちおいで。



一樹が絢を呼ぶ。




絢は、何か呼ばれたとおもったとき、一樹がこう続けて話す。




風向きが変わったからこっちおいで。




一樹は、絢にたばこの煙が行かないように、

右側へずれた絢を左側においでと呼んでいた。



絢は、その返事にこたえるよう、左側へと戻った。




たばこを吸っている一樹の背中にギュッとすると、一樹の手が

また、絢の秘部を攻めてくる。



ゆっくり、優しく、一樹の手が動く。




それと同時に絢の快楽が増す。






どんどん濡れてくるのが自分でも、はっきりわかる。





んんっ...




絢は、優しく触る一樹の手に耐えられず、小さく声を漏らす。





一樹が、続けざまに絢に問う。



絢の弱いところはどこだ?




首とか耳とか。





感度は?



私、すぐ濡れちゃうの...




そういうと、一樹の動かす手はさらに早くなる。



もう立っているのがやっと。

小刻みに震えている。



足元がグラグラする...



感じているのは私だけか。

気持ちいいのは私だけか…と

どこか寂しい気持ち。


だけど、そんな気持ちに反して、

一樹の動かす手の動きと同時に快楽が押し寄せる。






前から1台の自転車が通る。



一樹は絢の身体を自分の方へ引き寄せ、

止めることなく触っている。



自転車に乗っているのは若いお兄ちゃん。



一樹の顔を見ると、少しニヤッとした表情で

自転車のお兄ちゃんを見ていた。







一樹がたばこが吸い終わり、

また路地裏の道を歩き出す。



歩き出したが、

後ろから若い男女の集団が歩いてる。





…チッ、後ろに誰かいんなー



そう一樹が言葉を言い放つ。




後ろにいたら、何もできねーわ。



という。





まあ、そうだよね。

おじさんと若い女がイチャイチャ前歩いてたら、

何か言われるか…。

最悪通報されるよね。



絢はそっと状況を把握をし、

寂しいながらも一樹の左腕をギュッと自分のほうに引き寄せながらゆっくりと夜の街を歩く。

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