さすらえアオハルの民よ

ミロク

2分で終わるくだらない話をしよう。まぁ茶でも飲みたまえ。セルフだが。

俺は、Aだ。

名もなきAだ。

性は男で職は学生。それも高校三年生のAだ。

ただ2月をもって俺は高校生ではなくなる。

大学は決まっているから先が見えない不安はない。

自分を作る看板から高校生という項目が消えるだけ。

ただ、それだけなのだ。

俺がAであることに変わりはない。

Aが俺であることも変わらない。

それなのにこの身を切るような痛みは、どこから来るのだろうか。

楽しかった友人と離れる?楽しかった思い出が遠くなる?

果たしてそれらが本当に理由なのか?


それら全てが俺にとって大事だった訳では無い。


じゃあいったいなんなのだと暇な時ろくでもない頭使って考えた。




そして



考えるだけ無駄だった。


これを繰り返して、今の俺を俺にしたのは良く知るAなのだから。


俺の「高校生」としてのスタートも、ゴールも、後から自分で区切るもの。





全部未来のAがアルバム化してくれるだろう。


誰かと付き合った記憶も


部活を馬鹿みたいに真剣にしたことも


欠点をとって大目玉を喰らったことも


友人と殴り合いになる喧嘩をした事も


…そして、大切な人を失ったことも。


全てを無理やりひとつのアルバムにして収めようとするのだから、痛くなるのも当然だ。


でもそれで、良くはないけど、悪くはない。


……さて、時計を見ようか。

あっという間だな。2分とは。



始まりもなければ終わりもない。なんなら意味もない。そんな2分をお過ごし頂いた。



さすらえ、若人。


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