自己愛性ブラック~その原因とメカニズム~

作者 朝木深水

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★★★ Excellent!!!

 私もこの話にある成見さんのような(もっと正確に言うなら「中学教師」のような)上司によって心身を壊した事のある被害者です。
 彼らの無自覚な暴挙によって、最後には命まで取られかけました。
 その観点からレビューさせて頂きます。

 
 貴方の周りにも、何となく「妙にめんどくさい人」「おかしいのでは無いか?」「何をそこまで」と言う人間はいないでしょうか?
 そして貴方に対する「モラハラ」「パワハラ」と言う形で実害が出ていると言う事は無いでしょうか?
 一度、こちらの作者様が言われている「自己愛性パーソナリティ障害」を疑ってみる事をお勧めします。
 もし違うのであれば、それはそれで良い。
 しかし、この耳慣れない自己愛性パーソナリティ障害は決して珍しいものではありません。一説によると、一般人口の実に0.5%もの比率で当該病質を持っているとさえ言われています。
「普通に生きているだけ」で周囲に致命的な害を及ぼす病質の人間が、病気の認知度の低さから当たり前のようにスルーされ、社会に溶け込んでしまっている。
 そして、何の病気も持たない人が安易に彼らを模倣する事によって、人の命まで奪う「ブラック職場」がより強固に作り上げられてしまうのです。
 全ては、一般レベルに啓蒙が及んでいない事が原因です。
 かく言う私も、小説執筆の為にたまたま自己愛性パーソナリティ障害を調べていた事がありました。
 そうであるにも関わらず、最後まで、私を潰した上司が自己愛性パーソナリティ障害では無いかと、欠片も思いつく事が出来なかった。
 全く知識の無い、大半の経営者や上司達が、彼らの存在に気付くことはまずありえないのです。

 本作品は、そうした「違和感」の正体に名前を付けてくれます。
 これがあると無いとでは、自衛の意識にも大きな違いが出てきます。
 私は今でも、自己愛性パーソナリティ障害とおぼしき知人… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

《ブラック企業化》する社会と、それに迎合していく一部の人々を《自己愛性パーソナリティ障害》という症状を切り口に描かれた意欲作です。

プロレタリア文学(労働者文学)と言えば有名な『蟹工船』(著・小林多喜二)が有名ですが、小林多喜二自身はタコ部屋などの苛烈な環境に置かれた労働者と接点はあったが、自身は苛烈な環境での労働経験は殆どなかったため(確か)、ところどころでリアリティに解れを感じる点があります。
また、もはや古典に近い作品の為、現代の労働者が感じる過酷な状況とは違った次元のお話に感じてしまうところがあります。

さて、作者様の本作は僕が古典的プロレタリア文学に感じていた窮屈さを見事に取り除いた作品になっています。
作中にて描かれた出来事が作者様の経験に基づいたものという事でリアリティに狂いは無し。

そして本書最大のテーマともいえるのが、《自己愛性パーソナリティ障害》というフィルターを通して分析された作者様が出会ってきたヤバい人々。
【成見】に代表される《自己愛性ブラック》な登場人たちのような、一見するとカリスマ性溢れ、ウェーイ!!な人々たちの裏側にある、他者を巻き込み、他人の人生を犠牲にする事すらも厭わない仄暗い闇が分析され、描かれていきます。

本書を読んでから思い返してみると、ボクも今までの人生で出会ってきた人々の中に多くの《自己愛性ブラック》が居たなぁ……と気付かされました。
せめて自分が、そのような人間にならないよう気を付けようと思います。

★★★ Excellent!!!

自己愛性ブラック、あまり聞きなじみのない言葉ですが、
重厚な体験談と緻密な論考とによってその詳細が明らかにされていきます。
自分はどうなんだろう、周りのあの人は?
どう対処したら良いんだろう。
色んなことを考えながら読んでいました。
非常にボリューミーですが、作者様の気魄に押され、グイグイ読んでしまいます。