第8話 こはん

「...ん」


起きるといつもの状態だったので、いつもと同じようにドキドキしながら待った。


「...んぁ!...おはよ、ぼとる。」


「おはようございます!...じゃなくて、おはよう!ルル!」


ルルはこの言葉でさっきまでの眠気が吹っ飛んだ。


「カッコいい...」


ルルは若干顔を赤らめて急に僕をほめてきた。


「この喋り方、なんか違和感がありますね...」


「そう?私はカッコいいとしか思わないんだけど?」


「ルル?今日なんかおかしくないですか?」


「そんなことないよ!いつもと同じだよ!」


「なら、放してくれませんか?」


「じゃあ、口調変えて?」


「わかりました...じゃなくて、わかったよ...」


「ん~でも放したくない~!!」ギュ~


「わわっ!!///やっぱりおかしいですよ!!///」


なんとか説得して解放してもらったが。しばらく口調は変えることになった。


「ココハ湖畔ダヨ。コノ辺ハ針葉樹ガ多ク生エテイルンダ。ソノタメ、コノ針葉樹林ヲ利用シテ生活スル動物モイルンダ。」


「へぇ~、そうなんですね。」


「...口調。」


「あっ、」


「罰ゲーム!♪」


「えっ?罰ゲーム?」


そういい彼女は僕に抱きついてきた。


「ぎゅ~!」


「!?

今日ほんとにどうしたんでs...じゃなくて、どうしたの!?」


「いつもどうりだよ!」


10秒くらいで放してくれたが、やはりおかしい。


「モウスグ、アメリカビーバート、プレーリードッグノ家ガ見エルヨ。」


そういい、外を見てみると、何やら高床式ログハウスの様なものが見える。


「あれが...」


トラックは家の近くに止まり、僕たちは家の前に来た。


「これ、どうやって入るんでsh...だろう?」


「ここにドアがあるよ!」


僕たちはそのドアの前まで来た。


「そもそも中にフレンズはいるのかなぁ?」


すると勢いよくドアが開き


「こんにちはであります!」


「「!?」」


「自分はプレーリードッグであります!」


「ぼくはぼとる。こっちが...」


「私はトムソンガゼルのルル!」


「ルル殿ボトル殿!よろしくであります!さっそく『ご挨拶』させていただくであります!」


「「ご挨拶?」」


すると彼女は僕の頬を両手でロックした。


「へ?」


1㎝...2㎝...と顔と顔との距離が近くなってくる。


嫌な予感がしてきた...というときに。


「プレーリーさん!!」


茶色の毛皮のフレンズがプレーリードッグを引き留めた。


「おれっち以外に『ご挨拶』しないって言ったっすよね!?」


「ビーバー殿!申し訳無いであります!動物のころの癖で...」


「まぁ、いいっすよ。おれっちはアメリカビーバーっす。よろしくっす!」


「ぼくはぼとる。よろしく!」


「トムソンガゼルのルル!よろしくね?」


「よろしくっす!立ち話もあれなんで、俺っちたちの家に来るといいっす!」


僕たちはビーバーとプレーリーの家に入れさせてもらった。


「「失礼します。」」


「どうぞ、何もないっすが、ゆっくりしていくといいっす!」


「あっ!ビーバー殿!今日はまだ挨拶してなかったであります!」


「え?今するんすか?」


「もちろんであります!」


そういい彼女はビーバーの頬を両手でロックし唇同士を合わせた。


「「!?」」


「なんか恥ずかしいっすよプレーリーさん...」


すると横から若干荒れた息が聞こえたので横を見ると、

頬を赤らめたルルが少し息を荒くし、ビーバーとプレーリーをまじまじと見ていた。

僕がルルを見ているのに気が付くとルルは僕の頬を両手でロックしてこういった。


「私たちも『ご挨拶』しよう?」


え?


「いや、あの、僕たち、そういう関係じゃないし!あの、プ、プレーリーさんでもないですし、あの、!...////」


「ただの『ご挨拶』だよ?」


「い、いや、ちょっと、今日のルルおかしいですって!!」


「ねぇ、今敬語使ったよね?」


「あっ...」


「罰ゲーム♪」


そういい彼女は顔を僕の顔に近づけてきた。


「い、いや、罰ゲームはぎゅーでしょ?」


「今は違うの♪」


「い、いや...」


「私とはだめなの?」


「いや...ではないけど...」


「じゃあいいね♪」


そういい彼女は僕の唇と着実に距離を縮めていく。


「あ...」


あと1㎝というところで


「でも!暴走気味のルルとはしたくない!!!ルルもここでやったら後悔すると思う!!!」


「...」


ルルは急に我に返ったのか、さっきよりも顔を赤くして両手で顔を覆い隠した。自分ではとっさだったので少し弱めでありきたりな言葉だったと思うが。ルルにはきいた。


「ごめん...なさい...///」


ビーバーとプレーリーは少し残念そうにしていた。

両手の隙間からルルの顔が少し見えたが、若干笑みを浮かべていた。反省してる?


「あ、そういえばこの人数だったら二ホンリス殿の件、解決できるかもしれないでありますね!」


二ホンリスの件も気になるが、今のことが起こった後に話し出せるメンタルのほうも気になる。


「確かにそうっすね!この人数ならいけるかもしれないっす!」


これを機にビーバーが続けてそう話した。

僕もこの流れで話そう。じゃないと喋りにくい。


「二ホンリスさん?」


「そうっす!今大変なことになってて助けてほしいんっす!この人数ならいけるかもしれないので来てほしいんっす!」


「さぁ!早速行くでありますよ!」


僕たちは森まで手を引っ張られ、僕もさっきの恥ずかしさを隠すように走った。

ルルのほうを見るとまだ若干顔を赤くし、ニヤつきながらこちらを見てくる。


「もうすぐっす!」


そこには茶色で小柄なフレンズ切り株に俯きながら座っていた。


「あ!ビーバー!プレーリー!と...」


「初めまして、僕はぼとる。」


「ルル!トムソンガゼルだよ!」


「あ!初めまして!わっちは二ホンリスでありんす!よろしくいたしんす!」


「俺っちたち、二ホンリスさんの手伝いをしにきたんっすけど...」


「それは真!?うれしいでありんす!こっちでありんす!」


僕たちは彼女たちについていくと、大きな木がいくつも重なって倒れていた。しかもかなり複雑で上から二番目の木が細くて軽そうな割にかなり難しいことになっている。しかしあれさえ抜ければ全部崩れて、一個一個持てるようになるように見える。


「これは...」


「これ、実はわっちのマイホームでござりんす...フレンズになって博士やビーバーやプレーリーに助けてもらって、なんとかこの体に合う家を造ったでありんすが、この前の噴火の地震と例のセルリアンによって、こうなってしまったんでござりんす...」


「...ということなんっす!まずこの木をどかしたいんすけど、重くて3人じゃ持ち上がんなかったんす!」


確かに大きく、重そうだ。5人で行けるか?


「そういえば、この木を切って小さくしてから運ぶというのは...」


「硬すぎて無理だったであります!」


うーん...とりあえず持ってみよう。


「とりあえず持ち上げてみよう!」


僕がそう言い全員一番上に重なってる木を持ち上げる態勢になった。


「いくよ!っせーのっ!」


みんなが一斉に持ち上げようとしたが、ちょっと浮いただけで無理だった。


「だめでありんすかぁ...」


うーん...これをどかす方法...方法...



...



...ハッ!


「ルル!槍貸して!」


「え?槍?いいけど...」


槍を受け取るとき手を握ろうとしてきたように思えた。ほんとに今日大丈夫?


そして僕はいい感じの石を探し、木の手前に置き、槍を石にのせ、槍の先を木の下に差し込んだ。いわゆる”てこの原理”を使った。


「ルル、この槍を思いっきり下に押して。ルルと僕以外は危ないから離れてて。」


「わかった!」


そういい彼女は全力で槍を下に押した。

すると木が浮き始めた。僕はふと、槍が折れないかと槍を見てみたが全然大丈夫そうだ。


「よし!今のうちに!」


僕は上から二番目の例の木を力いっぱい引き抜いた。


木が抜けた瞬間、その他の木が一気に崩れ落ちた。

ビーバーたちは離れていたため無事だったが、2本の木がルルに向かって落ちてきた。


「!?」


僕は声が出るより先にルルにとびかかった。

ルルはそのまま態勢を崩し、僕と一緒に後ろにごろんと回って何とか二人ともけがをせずに済んだ。


が、


危ない状況はまだ続いている。


______________________________

〈〈動物紹介〉〉 二ホンリス


尻尾がすごくふっかふか、すごく森に特化した形になっていて、毛状の毛を持っているので、哺乳類というイメージから少しまた外見上だと離れていないような動物です。


直径15mぐらいの木なんかを1分ぐらいで登りきるというか上りきるぐらいの手と頑強な足と筋肉を持っています。


陸場に下がっても、森辺から数百mほどしか離れないっていうふうに言われています。あと陸場を出てることのほうが少ないです。


ちょうきょだいどうぶつえんじゃぱりぱーく ごぐーるおにいさん(じゃぱりぱーく)

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けもの遭難物語 ゴグール @Gogughle_115

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