第2話 プロローグ 迷惑な勇者 2

 エリゴールと使い魔が、宮殿から飛び立ってしばらくすると、


 ドガーーーーン


 と言う音と共に、エリゴールの宮殿は爆散した。


「え?お前やるじゃん。ゴスケに使われないように時限爆弾でもセットしたのか?プロだね。」


「・・・・ありません。」


「え?何?爆発音でよく聞こえなかった。もう一回言って?」


「私ではありません。」


「え?」


 エリゴールは、使い魔の反応に、自分の宮殿の残骸を指差しながら青ざめると続けた。


「まさかと思うけど、ゴスケ来た?来ちゃった?」


「あの状況ではそうとしか思えませんね。」


「え?マジかよ。間一髪ってやつだな。ゴスケ怖いなー。死にたくないから急ぐぞ!」


「承知しました。」


 ---


 2匹は全速力で序列18位のバティンの宮殿まで到着すると、入り口で2匹を待つかの様に立っていたバティンと遭遇することになった。


「あ、エリゴールさんじゃないっすか!相変わらずぴっかぴかの鎧ですねぇ。うん、今日もカッコいいっす!」


「ああ、バティン久しぶり!ゴスケの話聞いた?俺の宮殿ぶっ壊されちゃったんだけど。」


「聞いたも何も、自分、今から逃げるところっすよ。エリゴールさんは、やっぱり強いからゴスケと戦うんっすか?」


「え?馬鹿言うなよ。宮殿一撃よ?一撃!あんなのと戦ったら、フェネクス何匹いても足りないよ。まともにやり合えるの、バアルさんとか序列一桁の悪魔しか無理でしょ。」


「あー。わかります。自分なんてバラムと人間で遊んでたら、いきなりバラム後ろから真っ二つっすよ?」


「え?何?バティン、お前ゴスケに顔見られてんの?やばくね?別の所行こうかなぁ。」


「いやいやいや、見られたのって、多分乗ってた馬だけっすよ。安心してくださいよ。」


「そかそか。でもさ、俺殺されるのかなぁ。いやだよ。死にたくない。バティンなんとかしてよ。」


「無理っすよ。自分じゃ。ゴスケ見ちゃってますからね。一匹じゃ怖くて怖くて。今だってエリゴールさんと一緒で安心してますもん。」


「そもそも人間だけズルいよな。俺達悪魔は召喚される側なのに、あいつら勇者召喚して悪魔狩りとかさぁ。悪魔勇者召喚とかあったらいいんだけどなぁ。」


 そう言って2匹で頭を抱ええていると、バティンがポンと手を打ち、反応する。


「ああ、ありますよ!」


「なにが?」


「ほら、ソロモンの古文書に載っているアレっすよ!なんて言ったかなぁ。」


「え?え?え?なになになに?」


「大魔王召喚だっかな?覚えてないっすけど、自分達悪魔の勇者的存在が召喚できるとかなんとか?」


「ホント?どうせウソでしょ?バティンってさ、悪魔だもんな。信用できないって!」


「いや、悪魔同士なら信用しましょうよ。こんな絶望的な状況でウソなんて・・・。そんなんじゃ、悪魔務まらないっすよ!」


「そか、じゃあ信じてみようかな。んで?でもそれ、なんで皆やらないのよ。」


「うーん。なんでも当たりハズレがある上に、生贄一杯必要なんっすよね。エリゴールさんって、生贄にできる人間どれくらい持ってます?」


「当たりとハズレ?何それ、何回も出来るって事?人間は、こないだ大量に誘拐したからな。4000~5000位?それくらいは持ってるかも!」


「おお!さすがっすね!自分は、500くらいは持ってますね。一回たしか50人くらいだった気がします!当たりが出れば、勇者殺れるっぽいっすよ?」


「1回?ねぇ、地球がある世界って知ってる?」


「なんすか急に。知ってますよ。よく召喚されますもん。」


「あそこにさ、オンラインゲームってのがあるのよ、俺の召喚者てか、信者にさぁ、オンラインゲームの会社の経営してるヤツいるのよ。そのオンラインゲームってのにある、ガチャってわかる?」


「あー、よく知ってます。地球の人間は、ガチャの籤運上げるためだけに自分呼び出されますからね。命の半分代償に、SSR?だか引かせてほしいとか?普通に金賭けろ!そんなんで悪魔公爵召喚するとか頭おかしいっすよ。」


「なら話早いな。その大魔王召喚って、当たりハズレあるんでしょ?なんかさぁ、ガチャに似てない?てかSSR?引かせるのに命の半分て、そいつもまたすごいな。」


「あー確かに。言われてみればそうっすね。」


「まぁ、とにかくやってみるか!とりあえず一回練習していい?」


「いいっすよ?でも、やり方わかります?」


「エロイなんとか我は求め訴えたり的なアレだろ?」


「あー、すいません。それ古いっす。自分結構生きてますけど、古すぎてちょっと引くっす。とにかく行って古文書見ないっすか?」


「あー、なんかすまん。んで?どこでやるの?」


「そうっすね。場所は確か、最北端の統一悪魔宮殿ってわかります?あそこに古文書あるんすよ。そこで召喚するみたいっすね。」


「んじゃ行く?飛んで行っちゃう?」


「あ、自分位置記憶してるんで、ワープできるっす。一緒にどうです?一瞬ですよ?」


「ああ、じゃあ頼むわ。」


 エリゴールとバティンは、互いの使い魔2匹を連れると、バティンのワープにより、大魔王召喚の場である、統一悪魔宮殿へと足を運ぶこととなった。

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大魔王召喚~ねぇちょっと、迷惑な勇者をなんとかしてよ!~ RL→← @RL03041215

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