かげろう
人生を花だったり木に例える人は多い
だけど私の人生は
花のように美しくもなく
木のように大きく太くもない。
けれど他人を見ても尚
美しいとも大きいとも思えない。
羨ましいとか、そんな感情さえも無い。
人生は蝋燭だ。
貴方の人生だよ、と与えられた蝋燭に
誰かがそっと火を灯す。
楽しい時は眩い炎と成るだろう。
けれど
風が吹けば炎は細く細くなっていく。
消えかけることもあるだろう。
蝋をすり減らしながら短く短くなっていく。
でも誰かがまた火を灯してくれたなら
また眩い炎になる。
そう、少しずつ蝋燭が短く短くなっていく。
私に火を灯してくれた人は
言葉をくれた。
居場所をくれた。
肯定してくれた。
だから私は次の誰かに火を灯さなければいけない。
火を灯してくれた人の炎が細くなっていたなら
また火を灯さなければいけない。
言葉は無力だ。
だけどそんな言葉で灯せる蝋燭もある。
その言葉で炎を消すこともある。
だから言葉を向かい風にしたくはない。
言葉で誰かの炎を細くする人を許さない。
次は、私が、誰かの蝋燭を守るための
炎に、衝立になりたい。
優しい陽だまりに私を迎えてくれた人のように
別の誰かも風が吹くことがない陽だまりに
連れてってあげたい。
無風が幸せとは思っていない。
けれどそれを嬉しいと言ってくれたなら
それでいいんだ。
でもその陽だまりさえ、奪う言葉があるなら
私は許さない。
邪魔だと思うなら足で踏んで蹴って
火を消してしまえばいいだろう。
時々強い風を吹かせて
皆の優しい陽だまりを奪うなら
私も貴方を、貴方の蝋燭を消しに行く。
1番つかいたくなかった言葉達を遣って。
胸を張って言う
言葉はとても優しい
でも言葉だって牙をむく
使い方に憤ってるだろう、今頃。
容赦なく風が吹いたんだ
私だって容赦はしない。
もう、ごめんなさいだなんて
生ぬるい言葉じゃまだ足りない。
到底許す気にはなれない。
もしも、火が消えて、あの世でばったりさ
出くわしたら覚えておいてよ。
貴方の引き出しと私の引き出し
どっちが鋭い刃を持っているのか。
深夜一時のおはなし 東雲みさき @out_in_out
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