夢をみたなぐさめ

明里 好奇

体温に泣く

こんな夢を見た。

彼の面影を自分の中に見る。

彼の背中に触れたこと、伸びだした髭の感触、細い猫っ毛がくるくると波を打つこと、茶色い虹彩が透き通ること、皮膚の下の硬い骨の、思いのほか温かいその体温に驚いたこと。彼が生きていることを、信じられないでいる、私がいて、それに気が付いて息が詰まって、泣いてしまえたらどれだけ、いっそ泣いてしまえたら、どれだけ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢をみたなぐさめ 明里 好奇 @kouki1328akesato

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ