幻想的な海の冒険と終末の寂しさ

地表の大半が海に覆われた世界で、声をなくした男が人魚と出会うお話。
世界観というか、舞台設定がたまりません。どこまでも続く大海原という幻想的な光景に、陸地の大半が沈んでいる(暮らせる土地がほとんどない)という終末感。そんな中、声をなくした男がひとり、あちこち追い出されたりしながらも海を行く、という、もうこの絵面からして強いです。
序盤からしてこの状態なので、物語が本格的に動き出す中盤、人魚と出会って以降はもはや言うまでもなく。
一番好きなのは結びの部分、この物語の帰着点です。ネタバレになるので触れませんが、とても美しい終わり方でした。本当に〝幻想的〟という意味でファンタジーしている作品だったと思います。