スケッチブックをめくるように

「リリ」と「ゆーさん」の視点で毎話交互に語られる連作ショートショート。
 1話ごとに別の場所で始まり、別の何かに出会い、異なるテーマについて語り合う。
 この作品の素晴らしいところはその独立性・完結性の高さでしょう。1話1話に違った情景があって、まるで連作の絵を鑑賞しているような気持ちになります。

 しかもその絵にはトリックが隠されている。
 毎回なにかしらどんでん返しがあり、その直前のハラハラ感とその後のほっと一息つける感じが心地よいのです。

 通底する雰囲気の美しさ、ちょっと偏執的なリリとクールなゆーさんのバランスも好きです。