第48話 魔力操作は難しい

 美咲の【撫でる】が発動。美咲は【魔力操作】を覚えた。


 あ、これ天の声システムメッセージだわ。


 頭の中に唐突に流れて来た言葉だけど、説明されなくても何となく分かってしまった。

 というか、【撫でる】が自分に発動したの初めてな気がするわ。案外狙って発動する物なのかしら。


「今度はイケる気がする……!」

 何と言っても魔力操作覚えたしね。


「魔力、魔力……」

 身体の中の何某かの力を思いながら、おへその下辺りに意識をやって、それから深く吸い込む息に合わせてぐるんって時計回りに頭のてっぺん迄引っ張り上げて、ゆっくり吐き出す息に合わせてしゅるるって感じでそっと降ろす。

 少しずつ呼吸の速度を上げるのに合わせて、力を回す速度も速くする。


 おおお、魔力操作出来てるわ!


「ところで、これはどうしたら……?」

 ぐるんぐるん快調に魔力が身体を巡っているんだけど、快調すぎてスピードが偉い事になってる気がするのよね……。もはや私のコントロールを離れている感。

 ここから必要分だけ力を取り出して魔法に回すとか、難題過ぎやしませんかね?


「何をやってるかニャー……」

 ナオさんが多分絶対呆れた様な目で私を見てる気がするわ。ぐるぐる回る(多分)魔力が逸れない様に踏ん張るのに必死で、ナオさんの方を見れないけど。


「誰か助けて~!」

 それはそうと、私今ダンジョンの外に居るんだけど、これでもしかしてもしかする事態になっちゃったら、どうなっちゃうのかしら。DPダンジョンポイント使って生き返るなんていうサービスは適用されないわよね、流石に。


「仕方が無いニャー」

 誰かって言ったけど、うちのメンバーで何とか出来そうな人ってフレイヤさんぐらいかしら何て思ってたら、ナオさんがすたっと飛び上がって肩の上に乗って来た。


「ナオさんの前肢を握るのニャー。それで『せーの』でナオさんの前肢にそのぐるぐるしてる力を流すのニャー」

 するするっと腕の中に納まって来て、右前肢をにゅっと出したナオさんに促されるままにその小さな足を握る。


「せーのニャー!」

 小さいのに力強い前肢が振り下ろされ、引っ張られる様に流した力がそのまま引き出されて飛んで行く。


 ズバーン!


 飛んで行った力は、そう表現するしかない感じで振り切られ、ナオさんの前肢が振り下ろされた方向にはすっぱりと切り裂かれた様な四本の後が残されていたのでした。


「美咲はもうちょっと考えて動くニャー」

 ふんすっと息を吐いたナオさんに、しっかり叱られてしまったのは言うまでも無い。


 ちなみに、属性爪の要領で爪に魔力を乗せて飛ばしたそうです。ナオさん頼りになり過ぎでは?




 そんなこんなはあったものの、魔力操作を意識しながら火炎魔法を使うって感じでスキルを順番に起動させると、ちゃんとそれっぽいフレイムボムを飛ばす事が出来ましたよ。

 ちょっと発動まで時間が掛かるから、実戦で使えるかどうかっていうとまだ分からないけど。そこら辺は練習有るのみなのです。

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猫のナオさんと私の異世界ダンジョン物語 三和土 @tataki_f

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