主人公の鮮烈なキャラクターが本当にすごい。
ここに描かれているのは歪み切った狂気そのもので、私ごときでは徹頭徹尾一ミリも共感できなかった。ところが彼女にとってそれは真理そのものであり、人生の全てを犠牲にしてでも惜しくはない究極の美学なのだ。それどころか、なぜ周りがそれを理解できないのか不思議に思っているような節すらある。
ストーカーという単語は認知している。法に触れるような罪をおかせばどうなるかも頭で理解している。でも彼女にはそれよりも重視すべき独自の価値観があるのだ。それ以外の戯言は彼女にとってゴミ同然である。そのブッ飛んだ言動は忘れ難い強烈な個性であり、同僚のつまらない俗界に生きる凡人たちを圧倒的な熱量でもって蹴散らすのだった。
エンターテイメントとしてのホラーに大切なものはなのか?
この作品は私に教えてくれました。
揺るぎない強烈な個性であると。文句なしに入賞の主演女優です!
されど、その輝かしい闇の哲学にどうしても言わずにはいられないのです。
私もまた俗界の凡人であるがゆえに許されよ。
おメェーーは!まったく!関係ないだろ!……と。