本作は同じ形式で続編がまだ継続して書かれているので「未完」の状態でのレビューです。
短編連作形式ですが、背景が変わって行き主人公は変わらない。
背景の転換は主人公の人生の終わり、という一風変わった形式です。要するに主人公の人生の一場面にスポットライトを当ててそこだけを書くと言う形で物語が紡がれます。
私が寡聞にして知らないだけで他にもこういった作品はあるのかもしれませんが、かなり目新しいものだと思って読んでいます。
こういった形式なので中身はかなり薄くなるのはしょうがないとは思います。背景説明や物語の結びにボリュームが取られるからです。
一番厄介なのは主人公が「変わらない」ことです。
背景が変わることでの目先が変わり読んでいけるのですが、能力は増えますがその他が変わらないので違和感がありますね。そのあたりは「あえて薄くする」ことで抑えているのかもしれません。
短編の青春小説の連作だと思って読んでもらうのが一番しっくりくるとは思いますが好き嫌いはあるでしょうね。
私としては、この作品をどう閉じるのか? そっちに興味がありますね。
ともあれ、少なくとも「いろいろ飽きた」って方には「こういうのはどう?」ってお勧めできるかなぁと思います。
特に癖もなくサクッと読めて読後感も悪くない、佳作だと思います。
最初の二週目は、あれっ、もう終わり?って、軽い感じの前菜のようにあっさり終わってしまいましたが(これも恐らく狙い通りですよね)、週を重ねるごとにどんどん面白く、予想外の展開になっていき驚かされました!(特に料理人の週は、楽しく面白く読まさせていただきました)
それと、色んな展開や状況になるにも関わらず、矛盾や違和感を感じさせられることもなく、本当に一人で書いているのか疑わさせられるような、作者さんの人生経験の豊富さと想像力には瞠目させられました。
裏で絡まってきそうなストーリーも最後にどんなハーモニーも奏でるのか、非常に楽しみにしています!