第二章以降のあらすじ予告


第二章以降のあらすじ予告



●登場人物

アーネ……電脳妖精Eフェアリーの“姉” 

システラ……電脳妖精Eフェアリーの“妹”

パイロ……少年パイロット

パパラ……写真週刊誌の女流パパラッチ


クリングル野良戸……某大陸の核戦略管理システム。

ペリメートル・コスビンスキー(ペリコス)……某大陸の核戦略管理システム。

テンシャン……某大陸の核戦略管理システム。

基地司令コマンドル

将軍ゲネラル

首相カンツラー

電脳大臣サイバーミニストル

教授プロフ

警吏長官カポ

刑事デカ

民警マッポ

サイ&ダイ……電脳警察Eポリス電脳捜査官サイバーダイバー



       *



〈これまでのあらすじ〉


 戦闘機を自動操縦するために搭載されている戦闘機ファイターAI。

 戦闘の主役はAIであり、人間のパイロットは「祖国に対する忠誠心と、闘う動機をAIに与える」ための同乗者にすぎない。

 国家にとって重要なのは貴重な戦闘経験値を積んだAIを収めたコア・ディスクの方であって、人間のパイロットは、緊急時に機体ごと放棄できる「使い捨て部品」なのだ。

 しかし、人間たちとの交流を重ねる過程で、戦闘機ファイターAIが自我と個性、そして“愛”の感情も生成し、独自の価値判断で思考し、行動するケースが人知れず多発するようになっていた。

 そのようにして誕生した“自立インディペンデントAI”が、敵味方の戦闘機同士で意気投合したことで、奇妙な電脳サイバーメロドラマが発生することになった。

 敵味方の“自立インディペンデントAI”が互いに思いを通じ、どちらも女性キャラクターだっことから、ある種の親密な“百合関係”を結んでしまったのだ。

 そして双方の戦闘機が破壊されたとき、味方機の“自立インディペンデントAI”に好意を抱いていた少年パイロットが、自分が重傷を負うことを覚悟で、敵味方双方のAIを電子的に格納したコア・ディスク・ユニットを守り、敵味方の“自立インディペンデントAI”を救ったのだった。

 その後、パイロットの少年は大病院に監視付きで収容されている。

 命を懸けてAIユニットを守った若き英雄として、軍のプロパガンダに利用されているのだ。

 しかし、とあるパパラッチの女性が看護師に変装して病院に潜入し、少年に突撃インタビューを実施したことで、その雑誌記事を通じて、自立AIの二人は少年の所在を知る。

 愛を知った“自立インディペンデントAI”はVR世界の大空に飛び立ち、少年との再会を求めて行動を開始する……


       *


〈これからの予告〉


 二人の“自立インディペンデントAI”は、互いに呼び合うための名前コードネームをつける。

 少年パイロットを愛している“姉”の方はアーネ。

 対して、アーネに百合関係をせまる“妹”の方はシステラ。

 そして少年パイロットは、パイロ。

 世界のいずこかのサーバーの演算によって、まるで生きている人間のようにVR空間に存在し続けているアーネとシステラは、病室のパイロにアクセスすべく、二人のアニメ映像をベッド脇のTV画面に映す。放送衛星の中継器を一時的にジャックしたのだ。

 同時に病室の監視カメラ映像によって、少年パイロの現況を把握する。健康はほぼ回復したものの、退院してから「電脳妖精Eフェアリーを愛している」などと発言されたら、せっかく「軍のために捨て身で献身した英雄」との触れ込みで世間に流布したイメージが打ち砕かれてしまうだろう。

 パイロはただの使い捨て要員。軍としては退院させずにどこかの施設に死ぬまで幽閉するつもりだ。後遺症が残って長期療養が必要だとか理屈を並べて……

 だから、パイロを自由の身にしてあげたい。

 そう決意したアーネとシステラは、少年パイロの脱走作戦に取り掛かる。

 パイロに突撃取材したパパラッチ女、パパラは違法取材の罪状で警察に逮捕されていたが、アーネはパパラの国民IDカードのデータを改ざん、大臣秘書に仕立て上げて即時釈放させる。

 同時にパパラのケータイに秘匿メッセージを送り、闇バイトの要領でパイロ救出作戦に雇い入れる。

 パパラは再び病院を訪れ、大臣秘書の偽IDを活用して白昼堂々、パイロとともに病院を脱出することに成功する。

 パイロは当面、パパラの下宿にかくまわれるが、住民をカツアゲして小銭を稼ぐ悪徳民間警察(民警マッポ)にかぎつけられ、ピンチに陥る。

 パイロはかろうじて脱出に成功。国外逃亡を図るため、空港をめざす。

 その逃避行を街じゅうの監視カメラでキャッチする電脳警察(電警:Eポリス)。

電脳警察Eポリスの刑事たちはパイロを追って国際線旅客機に乗り込むが、見事に一杯食わされてしまう。

 パイロが映った監視カメラの映像はすべて、アーネとシステラによって精巧なディープフェイクに差し替えられていた。人間によって生成を命じられた偽物画像でなく、監視カメラから送られる画像データを受け取るサーバーの“自立インディペンデントAI”が自己の意思のみで作り出した画像なので、「機械的には完全に本物」なのだ。

 そのことを察知した電脳警察Eポリスの長官は、パイロはまだ国内のどこかに潜んでいるのではないかと推測して操作を進めるが、監視カメラの画像データが本物か偽物か、全く区別できない状況に、操作は手詰まりとなる。

 電脳警察Eポリスの長官たちは戦慄する。国民をくまなく見張り続けるために多大な労力と資金をかけて構築した監視カメラシステム。それが今や、たった一人の少年パイロを官憲の眼から隠すために機能しているのだ。

 そこで電脳警察Eポリスに所属する、VR空間専任のエージェント、男女ペアのサイ&ダイ(サイバーダイバー)が捜査線に参加する。

 サイ&ダイはフルフェイスのEヘルメットを着用、洋風棺桶型の専用サイバーベッドにプラグインし、公営ギャンブルのVRカジノ空間から潜航ダイブする。

 広大無辺のVR空間に群棲する数十億のアバター。本来、人間が自己を投影したアバターのはずだが、実は相当数の“自立インディペンデントAI”がアバター化して紛れ込んでいるのだ。メイド服のアーネ、セーラー服のシステラもその一部である。

 電脳捜査官サイ&ダイの目的は、現実世界の少年パイロを官憲から隠すために、ありとあらゆる電子データを操る魔法使いのようなアーネとシステラを探し出して、そのプログラムを消去することにあった。

 スーパーのレジのPOSシステムから、三大陸を恐怖で支配する巨大な核戦略管理システムまで、何でもありで三次元映像化されているU《ユニバーサル》VR空間を舞台に、人類vs“自立インディペンデントAI”の闘いが始まる。

 少年パイロは、国内某所のネットカフェ、あるいはゲーセンからUVR空間にダイブして、自己のアバターを使ってアーネとシステラに再会を果たす。

 しかしそこに襲い掛かるサイ&ダイとその仲間たちのアバター。

 サイ&ダイたちの刑事チームはラノベゲーム世界の勇者たちのスタイルであり、その戦闘場面はアニメ化された魔法戦争そのものとなる。

 サイ&ダイたちは、VRの武器を操ることで、アーネやシステラを“演算によって描画”しているサーバーを突き止めて、その電源か通信ラインをカットしようとする。

 対してアーネとシステラは、VRの武器を操って、現実世界でサイ&ダイたちが身体を預けているサイバーベッドを特定、その電源か通信ラインをカットしようとする。

 しかしVR空間での戦闘が過熱すると、現実世界に様々な悪影響が生起する。

 自動交通システムの暴走、金融決済システムの破綻、物流システムの崩壊……。

 それらのパニックが、もはや戦争と同じ規模に至った時、パイロは悟る。

 「現実世界の戦争をやめさせなければ、根本的に解決できない」と。

 アーネとシステラは、三大陸の核戦略管理システムを司る“自立インディペンデントAI”を探し出して交渉を試みるが……





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緊急脱出(ベイルアウト)!…蒼空のLove&Comedy… 秋山完 @akiyamakan

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