第08話 その後【完結】



 国軍が帰っていくと僕達は村のみんなと会い無事に済んだことを祝うようにいつもの場所でガイアを囲んで騒ぎだした。

 けれどガイアはちょっと不満そうな顔をしていた。それが気になり


「ガイア、どうしたの? 無事に終わって僕は安心してるんだけど……ガイアはなんだか不満そうなんだよね? 」


 そうガイアに尋ねると


「いや、嬉しい事なのだがな。ほれ。トキの幼馴染。どう見てもトキのことを思っているだろう? それを見ていると不満という訳ではないのだが……」


 そうガイアは言うも僕からはどう見ても不満そうな顔でしかなかった。もしかしてと


「ガイア。ヤキモチかい? 」


 僕は思わず嬉しくなり笑みが出てしまう。それを見たガイアは不貞腐れたように


「ああ、そうだ。そうだよ。ヤキモチだよ。きっとこれは。だって幼馴染は人だろう? 私は龍だ。勝てる気がしないよ」


 僕にそっぽを向いて答えていた。そんなかわいい事を言ってくるガイアに


「大丈夫だよ。誓っただろう? 僕とガイアは番。死ぬまで一緒だって」


 と僕は言葉を返しガイアを優しく撫で続けたのだった。




 幼馴染のアヤ。連れ去られた後、神に選ばれたと「聖士せいし」と呼ばれる国の役職に無理矢理付けられたそうだ。聖士とは交渉役らしい。なぜ神に選ばれないといけないのかというと交渉する者は裏切らない者でなければいけないという理由だそうだ。だから神に選ばれた者を選ぶ。人は神には裏切らないと考えられているからだと。まあ、アヤは裏切ったわけだけど。その話を聞くと結局は言い伝えでしかないという事かと僕や村のみんなは思い、そして人は身勝手なんだと再度思い知らされたのだった。






 その後はガイアがいるという事実によるものなのだろう国からの干渉はなくなっていった。村に任せると。多分国としても龍とは関わり合いになりたくないと考えたのではないかと村のみんながそう思っていた。


 そのおかげで僕とガイアは問題もさほど起こらず一緒に時を過ごしていった。ちなみにアヤは僕と共に居たいと、2番目でもいいと言い寄って来ていた。そんなアキにガイアは次第に諦めたように認めるような発言をしていたが、僕はアヤには申し訳ないけれどそうはしなかった。ガイアだけを愛すと僕は番になったあのとき誓ったからだ。


 その決意にアヤも嫁は諦めたもののいつも僕らと一緒にいた。


「一緒にいるだけなら問題ないでしょ? 」


 と。そんな関係でありながらも、いつの間にかガイアとアヤはとても仲良くなっており僕はまあ幸せならいいのかとふたりを見て幸せを噛みしめるのだった。




 そんな幸せな生活……は


 何時までも続くことはない。人と龍の寿命は違う。人もやはり全くの一緒ではない。そう3人の中で僕は最初に逝ってしまったようだった。ふたりに見守られながら。


 幸せの中で。






 その後ガイアは僕の亡骸を持ち村のみんなへ言葉を残した後、付いていくと聞かないアヤを連れてどこかへと消えたらしい。


 ガイアの最後の言葉は


「私がトキ亡き後も村で過ごせるようトキもみんなも気遣ってくれているのは知っていた。けれど無理なのだ。別に村のみんなが嫌なわけではない。ただ、ただトキがいないと駄目なのだ。トキが居なければこの世界に生きていること自体が私にとって意味がないのだ。だからさよならだ、人の子よ」


 だったと言われている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ガイアとトキの物語〜たとえ違えどふたりは共に〜 ここです。 @kokotangpu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ