捧げる詩

じっくり

自閉症の貴方に捧ぐ

 貴方よ。


 貴方ほど美しい心を持った人間を、私は他に見た事がありません。


 あまりにも綺麗で、崇高過ぎたその心を持った貴方は、その心故、かえって世間から、あるいは関わる事を避けられ、あるいは哀れみの目を向けられました。


 そして、自分はそうでなくて心から良かったと、貴方を見ながら思うのでした。


 しかし、私は思う。


 私は貴方から、愚痴というものを聞いた事がない。


 私は貴方から、妬みというものを聞いた事がない。


 私は貴方から、傲慢な言葉を聞いた事がない。


 私や世間のように汚濁の世に染まった心とは、次元が一つ違う。


 それはまさに明鏡のよう。


 私もまた、長く、世間と同じ態度で貴方と接しました。


 聡明な貴方に、私は、無智なるが故の罵詈雑言を浴びせ、避け、時には、犯した罪を無実の貴方になすりつけました。


 そんな時、貴方はいつも、その私の罪をも全て背負って、悲しみの涙を流しながらただ「ごめんね」と言うのみでした。


 貴方と過ごした日々は、私にとってかけがえのない日々でした。


 これまでの感謝と、もう戻らない日々を偲んで、この詩を貴方へ捧げます。


 自閉症の


 宿命宿しし


 貴方こそ


 不軽菩薩の


 権化なるかな

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捧げる詩 じっくり @jikkuri

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