捧げる詩
じっくり
自閉症の貴方に捧ぐ
貴方よ。
貴方ほど美しい心を持った人間を、私は他に見た事がありません。
あまりにも綺麗で、崇高過ぎたその心を持った貴方は、その心故、かえって世間から、あるいは関わる事を避けられ、あるいは哀れみの目を向けられました。
そして、自分はそうでなくて心から良かったと、貴方を見ながら思うのでした。
しかし、私は思う。
私は貴方から、愚痴というものを聞いた事がない。
私は貴方から、妬みというものを聞いた事がない。
私は貴方から、傲慢な言葉を聞いた事がない。
私や世間のように汚濁の世に染まった心とは、次元が一つ違う。
それはまさに明鏡のよう。
私もまた、長く、世間と同じ態度で貴方と接しました。
聡明な貴方に、私は、無智なるが故の罵詈雑言を浴びせ、避け、時には、犯した罪を無実の貴方になすりつけました。
そんな時、貴方はいつも、その私の罪をも全て背負って、悲しみの涙を流しながらただ「ごめんね」と言うのみでした。
貴方と過ごした日々は、私にとってかけがえのない日々でした。
これまでの感謝と、もう戻らない日々を偲んで、この詩を貴方へ捧げます。
自閉症の
宿命宿しし
貴方こそ
不軽菩薩の
権化なるかな
捧げる詩 じっくり @jikkuri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます