説明不要問答無用、魔陣幻戯シリーズ最新作……!

書けないものはないのでは、というくらいジャンルを超えたボーダーレスな、作者様の執筆活動には毎回驚嘆を禁じえないのですが、ホームグラウンドはやはりこれでしょう。
肉は斬られるためにあり、骨は断たれるためにある。
黒き仮面舞踏会と銘打たれた、グロテスクな武闘会の開幕です!
これはもうヒャッハーと叫びたくなりますね。

悪魔と戦うエクソシストという〈常道〉路線にして、胡散臭げな政治団体や検非違使庁など一癖も二癖もある人々を巻き込んでの、スピーディな展開には予断を許す余地もなく。
エクソシストと言っても、聖水や十字架で憑き物を祓うのと違い、こちらは完全な肉体労働。
体術や中華風の武器で、動かなくなるまでぶちのめす武闘派なのです。
爽快感が違います。
凄惨な事件の数々に差し挟まれるコミカルなやり取りが、一服の清涼剤の如く癒やしを与えてくれるのも特徴的です。
今回は少々おマヌケな凸凹コンビが、大いに頑張ってくれました。
のみならず、その口調から作者様の化身としか思えない登場人物の、大魔神もかくやの凄まじい変貌ぶりに、失禁を禁じえないという恐ろしい一幕も。
げに恐ろしきは菩薩かな。
そして自分も罵倒されたい……わけではないですので、ええ。
ホラーなのに笑える絶妙なバランス感覚は、新キャラオンリーの本作であっても健在です。
思わずニヤリとしてしまうラストもいい味出してます。

思えば、初めて拝読した作者様の作品が魔陣幻戯シリーズでありました。
そこでの描写、特に戦闘シーンの圧倒的描写に打ちのめされ、この人の作品なら間違いない! と、いわゆる〈作者読み〉を決意いたしました。
カクヨムにおいて、自分がこの〈作者読み〉を行っているお三方のうち、お一人は三年間平日更新という驚異のロングランを先日達成され、遅読の自分は最早周回遅れ状態。
お一人は『アリの惑星』という衝撃的超大作を公開していましたが、いつしかフィールドを別の場へ移し、カクヨムでのアカウントも消してしまった模様。
そして最後のお一人は……稀代の猟奇ストとして、その本領発揮たる本作を引っさげて、またしても我々を楽しませてくれるのです。

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