まるで、ひとつの絵が描かれる様をみているようだった

文章から起こされるイメージが、線で一つ一つ縁取られて、そっと絵筆を落とすように色がつけられ、浮かび上がってくるようだった。

真っ白な画布を切り裂くように色彩が薄く降り注ぎ、ゆっくりと、でも着実に鮮やかに物語を色濃く紡ぎ出していく。

絵を描くことに対しての熱量、そして誰かを愛おしむこと。それらが一瞬で吹きつける風のような強い意志で、光のような柔らかさで心に響いてくる。

この慈愛に満ちた美しい物語に多くの人が出逢ってほしいと、心から思う。