おすすめターゲット:中学生〜一般(20代)
ジャンル:ライトノベル、ファッション、スマホゲーが好きな人へ
テーマは疑似現実。主人公たちは一方的に課せられたルールの中で、人生をかけて大切なものを勝ち取らなければならない、非常に苦しくて辛い戦いを強いられます。
その中でだんだん使える特殊ギミックが増えていくなど、バトルとしての面白さが際立っています。
とても文章力があり、ほぼ粗はありません。
望んだ通りのストーリーが書けているのではないでしょうか。
設定も練り込まれていて、しっかり考えたものだと思います。
なぜ命をかけてまで、リスクの高いゲームに身を置くのか。それ相当の理由があるのですが、個人的にはより早い段階で明かされるともっと物語に引き込まれ、主人公に対する共感が深まって良いんじゃないかなと思いました。
以下この作者さんの武器となるものとして!
おしゃれな作品ですね!
作品全体に色彩、服飾、建築、家具系の用語が多く、こういった文章のウェートになっているものは初めて見ました。
描かれる世界にデジタルな輝きがあり、ほかに類を見ません。背景を描写する色のセンスが高いのだと思います。
己の考えるかっこよさを追い求めたら、なんかすごいんではないか…そんな期待をしています、力作をありがとうございました!
ゲームオーバーになると人生のすべてを失うことになるバーチャルゲーム『Fake Earth』。主人公はこのゲームに挑んで帰ってこなくなった少女を救うため、危険を顧みず仮想空間に飛び込む――
序盤から息もつかせぬバトル展開。
ゲームのルールがとてもしっかり設定されているのですが、要所でうまく説明を挟み込んであるため、ストーリーに没頭することができます。
えっ、この人プレイヤーだったの?! みたいな、ちょっとミステリー的な展開もあり、ハラハラドキドキしつつ最新「37話 列車非常停止警報装置(後編)」まで読ませていただきました!
自宅設定されている場所で、家族としてふるまっているキャラや、警察官までもが敵かもしれないので、気が抜けません。
主人公は何度もピンチに陥りますが、頭脳や「目の力」を駆使して切り抜ける展開がなんとも胸熱!!
ゲーム内で手に入れることができる武器・アイテムである「ギア」の設定が、いろいろあってとても面白いです。
主人公が手に入れたケルベロス、役にたたなそうでいてかわいい。危険が近づくと一生懸命教えてくれて健気~。
モグ吉師匠と併せてこのお話の癒しです!
チュートリアルキャラの円卓会議、競馬の居酒屋実況みたいで笑えました。
今のところ、消えた凛子の行方は分かりませんね。
序盤で図らずも共闘することとなったお姉さん・紫藤は、もしかして再会もアリ?!
何より謎めいていて気になってしまうのが、プロローグで出てきた教師の存在。
えっ? この先生がいるのは現実世界? それともバーチャル?
先生自体も何者なのでしょう。
今後が気になるところです!
この作品にとっての「死」は、ゲーム内のプレイヤーからNPCになり、その後の生涯を生きなければならないということです。
ネット社会を生きる現代人にとって、これは本当の死よりも辛いことではないでしょうか。
インターネットとは、ごくごく一部の頭のいい資産家が設計したもの。彼らは物心ついた頃から「自分は主役になれる」と確信し、実際にそうなるだけの能力と資産を持っています。そんな人たちがSNSというものを作り、「双方向間の情報交換を実現させれば、世界はより良くなる」と公言しました。
それは、半分は正解です。ですがもう半分、インターネットの設計者たちは「人間の殆どは価値ある情報を持たないNPC」ということを見落としていました。
TwitterにしろFacebookにしろ、「みんながプレイヤー(PC)」です。言い換えれば、NPCの存在を許しません。だからこそ、サラリーマンから高校生、中学生、小学生、自営業者、地方在住の農家、果てはどこかの国の自然保護活動家まで「私はPC」と主張します。NPCになることは、即ち死を意味します。
インターネットを突き詰めると、結局はこの作品の世界観のようになっていくんですよね。
そのあたりをしっかり認識して書いているのは評価に値しますが、問題は世界観やゲーム内ルールを解説するために、序盤の尺がごっそり奪われているという点です。
丁寧に説明しておきたい気持ちは理解できますが、小説では「説明」は「描写」に勝ることは絶対になく、常に「描写」を重ねながら物語をエンジンのように回していく……というのが一番の理想形です。
それを鑑みると、いささかロースタートかな? という感想は否めませんでした。
ただ、それを補うように「章毎にキチンと話をまとめている」という点が光っています。とりあえず第1章の最後まで読み進めてみると、話が綺麗にストンと落ちてるんですよね。これは本当に小気味いい感じです。登場人物の躍動も頭の中で再現でき、ひとつの作品としての読み応えは大いにあります。