第41話 合流
オルムは刀を振り抜いた。
スルトの胸に刀傷がつくと傷口が凍りつた。
スルトは炎で溶かそうとするが凍りついた傷口から凍りが次第に拡がっていく。
「おのれ!小僧がぁぁぁぁぁ!!」
スルトは咆哮を上げながら全身が凍りついた。
オルムが刀を鞘にしまうと凍りついたスルトは砕け散った。
オルムは目を閉じ深くため息をついた。
(主殿。お見事でした。)
鬼丸はオルムを労う。
ヴァナルが拍手をしながら近ずいてきた。
「いやー!凄いじゃないか!君が本来の力を解放したら、と考える王女の考えが少し解ったよ。君の本当の力はまだ目覚めて無いみたいだけどね。」
「…俺とヘルを連れていくんだったか?」
オルムは静かに目を開けるとヴァナルを見据えた。
ヴァナルの身体から冷気が迸る。
「そのつもりだったんだけどね。君とは敵として戦いたくなったんだよね。」
オルムは刀を構えた。
「安心してよ。まだその時じゃないから。じゃぁ僕は帰るよ。ルーン王を倒せたら、次はボザ王女だろ?その時は僕も本気で君を殺すつもりでやるから。」
ヴァナルから殺気が放たれた。
今まで感じた事のないほどの殺気にオルムの背中を汗がつたう。
「じゃぁね。またいずれ…。」
ヴァナルは身を翻すと、手をヒラヒラと振りながら横穴へ入って行った。
ヴァナルの姿を目で追いながらため息をついた。
「まだアイツの方が強いな。俺も負けられないな…。」
オルムは鬼丸を手に取り強く握り締めた。
オルムの前に鬼丸の姿が現れる。
「主殿。貴殿は強くなられた。まだ眠る力も多く存在します。主殿の力の一端になれた事を心より嬉しく思います。」
鬼丸はオルムの前に跪いた。
オルムは屈んで鬼丸の手を取った。
「ありがとな。鬼丸のおかげで、俺はまた強くなる事ができた。これからも頼む。」
オルムは鬼丸に頭を下げ微笑んだ。
「あっ…主殿!頭をお上げ下さい!私は主殿の刀。主殿に全てを捧げているのですから、当然の事をしただけですので!」
鬼丸は慌てオルムを促した。
オルムは立ち上がると刀を腰に提げた。
「さて。皆と合流するか!あの魔法陣に入れば、先に進めるのか?」
スルトを倒したら出現した魔法陣を指さした。
「恐らくは。」
オルムと鬼丸は魔法陣に入ると姿が霞んで転送されて行った。
「オルム!鬼丸!」
オルムが目を開けると、ヘルが腕の中へ飛び込んできた。
「心配したんだから…。鬼丸も急に消えちゃうし…。レイヴンは心配ないって言うけど、レイヴンの言うことだから…。」
「ヘル酷くない?オルム様~!」
レイヴンもオルムに飛び付いてきた。
しかしオルムはレイヴンを避け、ヘルの頭を撫でた。
「ごめんな。心配かけて。でも大丈夫だよ。地下の王は倒してきた。俺はまた強くなれた。ヘルを安心させれるくらい強くなるからな。それとレイヴン。男状態のお前に抱きつかれたら俺が潰されちまうだろ。」
レイヴンは地面に転がりながらケタケタ笑っている。
鬼丸もレイヴンやオルム、ヘルを見て微笑んだ。
ヘルは段々と冷静になったのか、オルムに抱きついている自分に恥ずかしくなり顔を赤らめ下を向きオルムから離れた。
「さぁ。次は魔剣国の本丸に乗り込むぞ!」
オルムは出口に向かい歩き出した。
堕天の王 ~世界が俺の敵になる~ 狐塚 間介(キツネヅカ マスケ @tokoyami_kitune
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