第2話
月の終わりは在庫などの棚卸しの作業がある。この作業はかなり時間をようする。
深夜一時などザラである。
お弁当に使う入れ物や箸の数などを数え把握する。
まあそんなわけで
月末に近づけば近くほど気分は憂鬱である。
そんな憂鬱な月末でもっとも憂鬱なのが年末である。
我が弁当屋は年末にオードブルを販売している。かなりの注文があるのだが、オードブルを作るのに忙しいのに数えなければいけないのでかなりの負担なのである。
また年末になると地域の担当者が来て、店舗の売り上げはどんな感じか見にくる。
きたら、当たり前だが
「お疲れさまです!いや結構売れてますよ!」てな感じで愛想笑いしながらペコペコす。
しかし内心は「忙しいときにきおって、なんや今はおまんを相手にしとる時間はないわ
てかデータで売り上げわかるやろうが!!」って思ってるなんてのは顔には出さない。
まあスムーズに帰ってくれたら一番ラッキーなのだが、ごく稀に無茶な注文を言う担当もいる。
「人員減らして、もっと売れたらいいね」なんて言われた日には心は阿修羅である。
「俺にそりゃ千手観音くらい手がありゃね、
それか影分身の術でも使えたらできますよ」
とめちゃくちゃ言ってるが、
やはりそんなことは言えないので、
「そうですねー まあ、コストリーダー戦略ならたくさん売らなきゃっすけど、ブランド戦略でいったら、それ可能っすね人員削減
なんちって笑」
なんて最近経済誌で読んだ洒落た言葉で返した。
まあ、このようにただの小さな弁当屋の店長は常にノルマと人員削減という矛盾の渦にもまれている。
僕は作業に静かにもどった
とある店の日常 紫五右衛門 @asitakamone
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