殺人執事ロイ・フォンテーン

作者 偽教授

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★★★ Excellent!!!

とある執事の半生を綴った物語。あるいは、彼の犯した殺人を活写したお話。
なにやら実話っぽい語り口、と思いながら読んだのですが、どうやら本当に実在の人物でした。
ロイ・フォンテーン、本名アーチボルド・ホール。作中の殺人事件も実際にあった出来事のようで、つまりは伝記ということになるのだと思います。
わりとネタバレになってしまう感想なのですが、最後の一文が好きです。
あの一文でくっきり話の核が見えるというか、主人公がロイさんから一気に英国そのものになる感じ。加えて、実はそれがキャッチコピーの時点でネタバレされていたこと。
〝斜陽の大英帝国に彼は現れた。執事という幻想の燕尾服を纏って。〟
執事という燕尾服が幻想と化してしまうほどに、斜陽化した大英帝国のお話。ロイ・フォンティーンという人物を通じて描かれる英国の衰退。いや、彼自身はしっかり主人公しているのですが、でもそれを結びの一行で全部丸ごと『英国』に飲み込んでしまう。あの一瞬の、世界がぐわっと広がる感じ。物語のスケールの上書きをたった一文で完了させる、しかもそれが最後の最後にくる、あの瞬間の快楽がもう本当に最高でした。

★★ Very Good!!

 タグにある通り、ロイ・フォンテーン(アーチボルド・ホール)はイギリスに実在した人物であり、作中で語られる殺人も実際にあった事件がモデルとなっています。
 犯人であるフォンテーンからも被害者であるエリオット氏ほか数名からも一歩距離を置いた俯瞰した語り口は、そのあたりから来る手触りなのだと思います。
 もちろん、ただ事実を並べるのではなく、作者さん独自の補完、あるいは感情の描写と思われるものがあり、どこまでが事実で、どこからが創作だったのか、と思いを巡らせる楽しさがありました。

★★★ Excellent!!!

>ロイ・フォンテーンは決して「本物の執事」ではなかったが、伝統の仮面を纏い、格式を演じることができるその才能は、まさに真の意味で「英国執事の鑑」と言うべきものであったと。

最後のこのパンチラインすごいすき…
最後まで一貫したソリッドかつハードボイルドな語り。かっこいい。
きょうじゅはものすごい量の資料を消化されて創作に当たるとの事、その知識が1万字に結晶されたらそりゃつよつよですよね…

★★★ Excellent!!!

 エリオット夫妻の元で執事として雇われることとなったロイ・フォンテーン。しかし、事態はすでに彼の掌で回っていた……。

 読み物としての完成度も高く、面白かったです! しかし博識……一体この知識はどこから来るんだろうといつも気になっています。