第129話 交流会準備《主人公side》
そしてエルフの国の首都から帰る彰吾は今度は方向などを正確に確認して、一直線に飛行する事で最短距離を進んでいた。しかも行きの時以上に魔力を供給して速度を数倍にして急いで移動していた。
「全体への説明…整備するのに必要な資材…友好の証の品の選定…」
移動してる間に彰吾は戻ってからやる事を全て思い浮かべ、そのために必要な工程を順序立てて最大効率での動きをイメージする。
無駄に時間を掛けて昼寝の為の時間を確保できない!なんて事が無いように全力だった。今までも集中する事はあったが準備期間が一か月しかないので、かなり効率よくやっていかないと終わらないのだ。
なので移動する時間を短縮するために魔力を大量消費してまで速度を上げて急いでいたのだ。時間にして2時間半ほどで魔王城へと変える事が出来た。
途中で空中の魔物をひき殺したり、急加速した時の衝撃波で森や村などの畑が吹き飛んだりしていたが他に大きな問題はなかった。
「ふぅ…この手紙を各種族の代表者へ至急持って行ってくれ、ついでに返事も受け取ってきてくれ」
少し疲れた様子で彰吾は移動しながら書いておいた各種族への指示書をクロガネ手渡した。1つに着き10枚前後はある詳細な指示書は重ねるとかなりの厚さになっていた。
『っ!』
「任せた…」
敬礼して答えるクロガネを見て彰吾は完全に伝達などを任せると、すぐに次にやるべきことをするために移動を開始する。
「そこの10体、倉庫からここに書いてある素材を俺の修練場へと持ってきてくれ」
『『『『『『『『『『ッ!』』』』』』』』』』
近くで訓練中の人形兵達は彰吾の指示を聞くと瞬時に敬礼をして、紙を受け取って駆け足で倉庫へと向かう。それを見送って作業に必要な道具を自室へと取りに行っててから、専用に使っている修練場へと向かう。
そこには現在進行形で渡したメモの資材が運び込まれていた。
この場所で彰吾が何をしようとしているかと言うと…
「さて、せっかくの友好の品だしな。俺の手で作った物の方がいいだろ!」
自分の造る品に自信を持っている彰吾は友好の品だからこそ、一切妥協することなく自分の前例をかけた物を送ろうと思っていたのだ。なにより下手な物よりも自分が満足する出来の物を送る方が喜ばれると思ったのだ。
「見た感じ金属は最低限しか使われていなかったから、苦手な可能性も考えて木材で造った方がいいよな。だとすると…これと」
エルフ達の王との光景をできるだけ詳細に思い出しながら、持ち込まれてくる素材の中から最適だと思う物を選定していく。手に取るのはエルダー・トレント材に魔獣の筋線維・蜘蛛の魔物の糸・魔獣の革・魔石などだ。
「見た目も重視しながら、性能にも妥協しないで…自分のスキルと知識フル活用で…最高傑作作って見せるぜ‼」
楽しそうに笑みを浮かべながら彰吾は気合を入れるように宣言して持ってきた道具を並べる。
それはドワーフと協力して魔王城の機能で出した彰吾専用の工具と、ドワーフ達とルーグ老に協力してもらって作った付与や錬金の補助をしてくれる魔道具などだった。
「まずは木材を…」
そうして最初に手に取ったエルダー・トレント材を作業台に乗せて加工を始める。
深く、深く集中している彰吾の目には無意識に魔力が集中して素材の最適な加工の手順を可視化し始めていた。見る見るうちに加工されていくエルダー・トレント材だが難しいのは後半からだった。
エルダー・トレントは退治され木材と成ってもわずかに意思、と言うか本能による反射のような物が残っている。その一つ『魔力による回復』が一定以上の損傷を受けると買ってい動き出してしまうのだ。
ほんの少しの魔力を吸収しただけで勝手に再生してしまうのだ。
なので加工の際には魔力を一切吸収させないように完全なコントロールをしなくてはならないのだ。それを事前知識として頭にあった彰吾は普段から漏れ出ているわずかな魔力の流れが変化したのを確認すると、全身の魔力に意識を巡らせ一切漏れる事の無いように体内を巡らせるように操作を始めた。
「っ!!!」
少しでも気が緩めば漏れ出てしまう膨大な魔力を持つからこそ、体内だけに廻るようにコントロールするのは彰吾をしても生半可なことではなかった。
その上で一切の妥協を許されない素材の加工をするのだから時間が経つごとに精神をすり減らす。だが一度始めると簡単には中断できないのが魔物素材。
いくら疲れて辛くてもやめるなんて選択は取れず、集中力を切らさないように強い意志で目の前の事だけに意識を向ける。
そうしてひと段落着くのに掛かったのは4時間も後の事だった。
次の更新予定
3週ごと 月曜日 07:00 予定は変更される可能性があります
異世界転生!魔王になったけど、眠っていいですか? ナイム @goahiodeh7283hs
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