三.
「あの赤い輪っかが二ポイント、ポールを旋回すれば十ポイントね。来月から始まる新競技と同じルールだよ!」
「ちょっ……引っ張らないで」
「大丈夫だよ。いっぱい練習してきたでしょ?」
「朝日ってばテンション上がってるう」
「だってマコ! 今日は夕ちゃん、外での初飛行なんだよ!」
天井のない、芝生が広がるスタジアム。
あれから六年。フィールドサイドには馴染みの顔が並んでいる。
僕の背中には本物を模した、機械じみた羽が一対。
彼女の顔に陰りが見えることもなくなった。
「じゃ、先に行くよ」
「あっ」
一足先に朝日が飛び立った。
僕は急いでその背を追う。
助走をつけて、一、二。ギシギシ音を立ててはばたく翼。
勢いよく地を蹴り、そして――。
有翼人種同好会 さかな @sakanasousaku
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